☆メンデルスゾーン:交響曲第1番&シューマン:交響曲第4番他
トーマス・ヘンゲルブロック指揮NDR交響楽団
<SONY>88697940022
手兵のピリオド楽器アンサンブル、バルタザール・ノイマン・アンサンブルに留まらず、ドイッチェ・カンマー・フィル等モダン楽器オーケストラとも積極的に活動を進めてきたトーマス・ヘンゲルブロックが、(ハンブルク)NDR交響楽団の新しいシェフに選ばれた。
メンデルスゾーンの交響曲第1番とシューマンの交響曲第4番(初稿)を並べたこのアルバムは、そうしたヘンゲルブロックとNDR響の今がストレートに表現された一枚といえる。
すでにドイッチェ・カンマー・フィルとのシューベルトの交響曲第1番&ヴォジーシェクの交響曲<ドイツ・ハルモニアムンディ>でも示されていたように、いわゆるピリオド奏法を援用するばかりか、金管楽器など一部の楽器にはピリオド楽器を用いており、まずもってNDR響の変容ぶりに感心する。
(特に、シューマンの交響曲の第3楽章の入りのファンファーレが印象的だ)
個人的には、冒頭から狂おしいばかりの焦燥感にあふれたメンデルスゾーンの交響曲に心魅かれた。
と、言うより、この曲がこんなに面白く、こんなに聴きどころの豊富な作品だったのかと正直びっくりしたほどである。
先述したようなぐいぐい激しく迫ってくるような部分には心掴まれるし、逆に、第2楽章や第4楽章の終結直前のゆっくりとした部分の抒情性、旋律の美しさも実に魅力的だ。
そして、機械仕掛けの神があたふたと落下してくるようなラスト!
また、同じメンデルスゾーンの弦楽8重奏曲のスケルツォ(管弦楽版)では、『夏の夜の夢』にも通じるこの作曲家ならではの飛び跳ねるような音楽の愉しさがよく表わされている。
なお、HMV等のCD紹介ではセッション録音となっているが、曲が終わったあとに拍手とブラボーが収録されていることからもわかるように、少なくともシューマンの交響曲はライヴ録音のようだ。
いずれにしても、ヘンゲルブロックとNDR響の今後に大いに注目し、大いに期待したい。
メンデルスゾーンの交響曲全集の録音なんて無理かなあ。
2011年09月28日
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