2011年01月06日

ウディ・アレンの『人生万歳!』

 村上春樹は村上春樹だし、ショスタコーヴィチはショスタコーヴィチ。
 そして、ウディ・アレンはウディ・アレン。

 今日、京都シネマでウディ・アレンの最新作『人生万歳!』(記念すべき40本目の作品だそうだ)を観ていると、ふとそんな言葉が頭をよぎった。
 いや、もちろん自同律が不快の対象であることぐらい、僕だって知らないわけじゃないけれど。
 でも、劈頭、ウディ・アレンの分身としか思えないラリー・デヴィッド演じる主人公(雰囲気がウディ・アレンそっくり。話し方も)のおしゃべりを耳にしただけで、おおまた始まったと思ってしまったほどだ。

 で、京都シネマの映画案内にある「ありえないピュアな恋愛物語」のままで終わってしまえば、それこそ老人親父に都合の良すぎる妄想恋愛譚も、そこはウディ・アレン、一ひねり、どころか二ひねりで、自負と自虐、楽観と悲観が見事に入り混じった一筋縄ではいかない物語に仕立て上げている。
 セックスへの執着に、昔なつかしヒット・ナンバーやクラシック音楽(第九に運命!)の引用と、これまたウディ・アレンお得意の趣向。
 ウディ・アレン自身の老いも加わってだろう、タナトスへの傾斜や厭世感の表出も色濃いが、だからと言ってただただ悲嘆にくればかりいないあたりが、また「らしい」。
(個人的には、ウディ・アレンらしいバーバル・ギャグを愉しんだ)

 映画のほうも、戦いすんで日が暮れて、じゃない目まぐるしい一年が暮れて、新しい年を迎えたところで幕を閉じるが、まさしく脳天気に一年を始めたくない人にはぴったりの、機智と機転に富んだ一作ではないだろうか。

 門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし。
 とは、ちょと違うかな。
posted by figarok492na at 22:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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