2010年06月16日

『人情紙風船』

 京都シネマで開催中の『山中貞雄監督映画祭』。
 今日は、山中貞雄の遺作となった『人情紙風船』(1937年、P.C.L./ニュープリント)を観た。

 で、この『人情紙風船』に関しても、今さらくどくどくだくだと繰り返すこともあるまい。
 三村伸太郎のもともとの脚本は、それまでの山中貞雄らしい明朗快活調、「明日への新しい希望をもつ」ものだったはずが、実際に完成した作品は、当時の世相を如実に反映したとも考えられる、どうにも救いようのない結末を迎えることとなる。
(山中貞雄自身、「人情紙風船が俺の最後の作品では浮かばれない」と周囲にもらし、「「人情紙風船」が山中貞雄の遺作ではチトサビシイ。負け惜しみに非ず」と書き遺したこともよく知られている)
 ただ、事そこにいたるまでの展開は、見事というほかはない。
 また、中村翫右衛門、河原崎長十郎をはじめとした前進座の面々のアンサンブルも、実に優れている。
 やはり、何度観直しても、観飽きない作品の一つだ。

 それにしても、『人情紙風船』を観るといつも、三村伸太郎や山中貞雄は、岸田國士の『紙風船』(実演は無理としても、戯曲)に触れたことがあるのではないかとついつい思ってしまう。
 ラストの紙風船を目にするたびに、特に。
(まあ、タイトルだって『紙風船』と『人情紙風船』だものね)
posted by figarok492na at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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