2010年04月25日

C.T.T.セレクション・イン京都

 そのうちに、そのうちに、と思っているうちに時は無情にも流れ去り、人は最期のときを迎えてしまう。
 ああ、芸術は長く、人生は短し。
 そして、メメントモリ!

 なんてことを、昨日ノートルダム女子大学近くの公園でブランコをこぎながら考えてから、アトリエ劇研までC.T.T.セレクション・イン京都(vol.86 2010年4月上演会)を観に行ったのだけれど、よくよく考えたら、C.T.T.の上演会に足を運ぶのは、昨年5月以来の約一年ぶり。

 で、今回はタイトル通り、ここ四回の試演会のうちから評価(と、言うより観客の投票数)の高かった二団体と、他地域のC.T.T.事務局が推薦した一団体が上演を行う「セレクション」。
 「セレクション」だけに、上演協力金も1500円と、ちょと割高になっている。
(僕は支援会員なので300円だが、あとちょっとで有効期限が切れるところだった。そのうちに、そのうちに、と呑気にかまえているから、こういうことになるんだよね。危ない危ない)

 まずは、ダンスパフォーマンス・ユニット、政秀とマロンの『アリかも!』。
 会場の半ばを埋め尽くした京都造形芸大関係者(その多くは、上演が終わると合評会に参加することなく帰ってしまった。残念だなあ!)に、人海戦術、組織票という意地の悪い言葉が口をついて出そうになったし、実際彼女彼らの上演だけ観て投票用紙に○をつけそそくさと会場をあとにした人までいたから(残念、それは無効なのだよ)、そういう側面も否定はできないと思うが、政秀君とマロンさんのダンスそのものには好感が持てた。
 と、言うのも、彼女彼らのダンスから、二人の人柄のよさ、真摯さが透けて見えたので。
 ただ、今回の『アリかも!』は、二人の表現欲求は認めつつも、正直、僕には「頭でつくった」部分が見え過ぎるというか、意匠が勝ち過ぎているように感じられて、あまり面白くなかった。
 できることならば、そんなごてごてなどとっぱらった、マロンさんと政秀君(白タイツ姿でも小豆色のジャージ姿でもなんでもいい)の音楽も何もなしの素のダンスを、僕はただただ30分観てみたい。
 なぜなら、そうしたほうが、よりマロンさんと政秀君の魅力がストレートに伝わるだろうから。
 いずれにしても、五年先十年先が愉しみなコンビである。
 継続は力なり!

 続いて、西山真来さんと濱崎彰人さんによる象、鯨。の『次回作高山なおみ作「帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。」舞台化のキャスト、スタッフ募集のためのプレゼン』。
 高山なおみや山崎ナオコーラ、川上弘美の作品をコラージュしたというテキストそのものに加え、西山さんや濱崎さんの演劇的抑揚を控えた演技(合評会で高田ひとし君も指摘していたことだけど、後述オパンポン創造社とは非常に対照的だ)もあって、どこか単館封切りのアート系シネマのような雰囲気が醸し出されてはいたが、一方で、舞台上(ライヴ)ということを充分意識した試みが為されていたとも思う。
 西山さんの存在感は言うまでもないが、それを受ける濱崎さんとのコンビネーションも悪くなさそうなので(西山さんはいい相手を見つけたのではないか)、あとはテキストを如何に組むかということと、他の演者陣が誰になるかということが大きな鍵となるだろう。
(もう一ついえば、通常以上に、好きか嫌いかが判断の基準となる公演になるような気がする)
 そういえば、僕は西山さんの舞台姿に初めて接したのは、2006年4月のC.T.T.の試演会のことだった。
 松田正隆さんが西山さんの表現をいたく気に入ったのもこのときである。
 時の流れは、本当に速い。

 そして最後は、大阪事務局推薦のオパンポン創造社による『野人が出たぞ』(野村侑志さん作・演出)。
 初めての京都ということもあってだろう、冒頭、演者の手探り状態の緊張感、心の揺れが痛いほど伝わってきたが、ここは心を鬼にして、野村さんの最前列の客いじりには反応せず。
 一瞬これはどうなるか、と心配もしたが、本篇が始まってからは、ほぼリラックスした気分で最後まで観終えることができた。
 個人的には、「大阪」というよりも、1980年代、90年代の東京の小劇場、というかコントのような、線がはっきりして、よく造り込まれた作品になっていると思った。
 アトリエ劇研のキャパシティからすると若干オーバーアクション気味かなと感じたりもしたが、演者個々のキャラクターも面白く、本公演など、だれ場も含めた長い尺で一度観てみたい集団である。
(「そのうちに、そのうちに、なんて先延ばしにしてはだめぜよ!」と呼ぶ声あり。了解です)

 それにしても、こうやってバラエティに富んだ表現活動に触れることができるのがC.T.T.の大きな魅力の一つなわけで、現在の比較的「フラット」な状態が今後も長く続いていくことを、僕は心より願ってやまない。
 C.T.T.は長く、人生も長し、となったらいいな。
posted by figarok492na at 15:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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