昨日、1月1日から『植草甚一日記』<晶文社>を読み始めたが、1945年という戦時下、それも敗戦直前という末期的状況下で、それでもなお(いや、だからこそか)、日々本を買い求め、本を読みふける植草さんの姿には、それが淡々とした筆致で記されているだけに、強く心を動かされる。
ひるがえって、僕自身を省みるに、同じ本好きは本好きだけれど、植草甚一ほどには徹底できていないというか、本好きのディレッタント、本好きのアマチュアにとどまっているような気がしないでもない。
まあそこには、植草さんの如く日々本を買い求めるだけの余裕がない、つまるところ恒常的な資金難があるのではあるけれど。
(「もっと働かんかい!」、と呼ぶ声あり。へへえ…)
で、本好き本の道の達人からは邪道とそしられるかもしれないが、僕の読書体験の中で図書館所蔵の本がどんどんだんだん比重を増してくる。
特に、昨年2009年などは、図書館で借りた本が、読了書籍の8割以上を占めるという結果となってしまった。
まさしく図書館様様。
そして、今年も同じく、図書館所蔵の本をどしどしぞくぞく読んでいこうとたくらんでいる。
(だいいち、『植草甚一日記』だって、図書館で借りた本だしね)
まず、文藝評論関係の全集選集類では、長谷川如是閑全集<岩波書店>、林達夫著作集<平凡社>、花田清輝全集<講談社>のそろい踏み。
まさしく、この国の知の系譜の一つをたどる選択だ。
逆に、『新輯内田百間全集』<福武書店>は、理屈もへったくれもない、ただただ読みたい触れたい目を通したいという想いからの選択である。
ほかに、中野好夫集<筑摩書房>や中野重治全集<同>も押さえておきたいと思う。
続いて、戯曲シナリオ関係では、『岸田國士全集』<岩波書店>、『山中貞雄作品集』<実業之日本社>、『井上ひさし全芝居』<新潮社>、『ニール・サイモン戯曲集』<早川書房>はぜひ。
ニール・サイモンでは、自らの来し方を綴った『書いては書き直し』<早川書房>も落とせない。
あと、日本の演劇史を振り返るという意味で、大笹吉雄の『日本現代演劇史』<白水社>も余裕があれば。
一方、今さら日本の近現代史の研究者になるつもりなど毛頭ないが、この国がどうして無謀な戦争に突入してしまったのか、ということについては、やはりどうしても興味がある。
この国がどうして無謀な戦争に突入してしまったのか?
その疑問を解く鍵の一つに、当時の為政者たちの思考や行動を改めて確認する作業があるのではないか、というのが僕自身の今現在の判断で、『木戸幸一日記』≪東京大学出版会>をはじめ、『宇垣一成日記』<みすず書房>、『高松宮日記』<中央公論社>、『牧野伸顕日記』<同>、『有馬頼寧日記』<山川出版社>など、徐々にあたっていくつもりだ。
(そうそう、多少意味は異なるが『古川ロッパ昭和日記』<晶文社>も読んでいきたいんだった)
てか、こういうことをくだくだくどくど記していく前に、まずは実践あるのみじゃないか。
さあ、読むぞ!
2010年01月02日
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