今日から10月。
2009年も残すところ三ヶ月を切って、どうにもこうにも焦燥感にとらわれている中瀬宏之だが、なんてったって食欲の秋。
ではない、芸術の秋、エンタメの秋。
張り切って今月のエンタメについて書き散らしていきまっしょい!
(「なあんか、いとうおますなあ」、と呼ぶ声あり。いやはや、なんともはや…)
まずは、いつもの如くお芝居演劇の類いだが、さすがはシーズン到来、あるわあるわの乱れ打ち。
10〜12日は、てんこもり堂の番外公演ともいえる、からこのえだの『熊』(チェーホフ作、辻井直幸君演出/壱坪シアター・スワン、1000円)。
勝二繁君、よこえとも子さん、柳川の浦島史生君とともに、辻井君があの『熊』をどう料理するかが愉しみだ。
17日と18日は、ベトナムからの笑い声の黒川猛さんによる、THE GO AND MO’S『黒煙』(黒川さん企画、構成、演出、出演/東山青少年活動センター創造活動室、1200円)。
やるぞやるぞという声だけはありながら、長らく延ばし延ばしになっていた黒川さんの一人公演がついに実現。
チラシからして、不穏な空気感満載である。
21〜25日は、MONOの特別企画Vol.4『チェーホフを待ちながら』(土田英生さん作・演出/AI・HALL、3000円)。
チェーホフの短篇戯曲を下敷きにした作品を、土田さん以下、MONOの正統メンバー男性5人が演じ切るという企画だから、これは観物も観物だろう。
期待大。
(余談だけれど、土田さんの『土田頁』は、その人となりがよく表われたウェルメイドなブログだ。文は人なり、土田さんファン、MONOファンには「マスト」なんじゃないかな)
23日〜25日は、東京の劇団SelfのVol.10『私たち死んだものが 目覚めたら』(イプセン作、矢野靖人構成・演出/アトリエ劇研、2500円)。
6月のC.T.T.公演、並びにワークショップはパスしてしまったが、これは非常に気になる公演。
この週は、MONOや後述マレビトの会の公演もあって大いに悩むところだけれど、できることなら落としたくない。
24日と25日は、マレビトの会の新作『PARK CITY』(松田正隆さん作・演出/びわ湖ホール大ホール舞台上舞台、3000円)。
笹岡啓子の写真とのコラボレーションも興味深いが、個人的には、松田さんがどこまでブレヒトを意識した造形(作劇というより、こちらの言葉のほうがより適切なのではないか)を行っているかが鍵のような気がする。
10月末日と11月1日は、ヤマコジの朗読実験室round3『〜神様〜』(東山青少年活動センター創造活動室、1000円、ただし黒川さんの公演の半券を持っていけば200円の割引)。
タイトルからもわかるように、川上弘美の『神様』を中心にした内容で、前回同様ダンスも加わるらしい。
現在朝日新聞連載中の『七夜物語』も含めて、全ての川上さんの作品が『神様』の変奏と言っても過言ではないだけに、そうした点も含めて愉しみだ。
続いて、コンサート。
こちらも行きたい聴きたい公演が目白押し。
9日は、相沢吏江子のピアノ・リサイタル(ザ・フェニックス・ホール、2500円)。
相沢さんが神童的な扱いで鮮烈なデビューを飾ってからもう20年が経つのか。
グリーグのホルベルク組曲、ドビュッシーの子供の領分、ブラームスのヘンデル変奏曲というプログラムで、現在の彼女の美質が十二分に発揮されるのではないか。
14時からのティータイムコンサートということもあり、手の届きやすいチケット料金というのも嬉しい。
10日は、いずみホールのウィーン音楽祭in OSAKAのトップバッター、バリトンのマティアス・ゲルネとピアノのピエール=ロラン・エマールによるリサイタル(いずみホール、9000円〜7000円)。
ドイツを代表するバリトン歌手ゲルネが、本来女性用の歌曲集、シューマンの『女の愛と生涯』を歌うというのがこのリサイタルの大きな目玉。
エマールとのコンビネーションにも注目したい。
13日は、そのエマールのソロ・リサイタル(いずみホール、6000円〜5000円)。
現代音楽の演奏で評価が高いエマールだが、モーツァルトのピアノ・ソナタ第6番、ドビュッシーのベルガマスク組曲、ベートーヴェンのエロイカ変奏曲といった今回のリサイタルでは、彼の別の一面を堪能することができるのではないか。
15日は、アンサンブル・ノマドのコンサート(同志社大学寒梅館ハーディーホール、2000円)。
ヴァレーズ関連の企画の一環として行われるコンサートで、ヴァレーズのほか武満徹の作品も取り上げられる。
現代音楽好きには、お薦め。
17日は、岩村力指揮兵庫芸術文化センター管弦楽団の室内オーケストラシリーズ1(兵庫県立芸術文化センター小ホール、3000円)。
兵庫芸文センター管弦楽団が、小ホールで室内オーケストラ編成の演奏を行うという新たな企画の初回で、ベルリン・フィルの首席クラリネット奏者ベンツェル・フックスをソロに迎えたモーツァルトとウェーバーのコンチェルトが聴きものではないか。
個人的には、ストラヴィンスキーの『プルチネッラ』組曲が気になるんだけど。
18日は、フォルテピアノの小倉貴久子を中心としたピリオド楽器のアンサンブルによる室内楽コンサート(いずみホール、4000円)。
ベートーヴェンの交響曲第2番のピアノ3重奏版に、シューベルトの『ます』と、その筋の愛好家(どんな筋やねん)には垂涎のプログラム。
その筋の愛好家(だからどんな筋やねん)の一人としては、外したくないなあ。
23日は、通崎睦美さんの木琴とマリンバのリサイタル(京都府立府民ホール・アルティ、3500円)とヴェルターヴォ・カルテットの来日公演(大阪音楽大学ザ・カレッジ・オペラハウス、3000円)がバッティングしている。
旧知の通崎さんのリサイタルはすでに何度か足を運んでいるので、その魅力は充分承知之助。
一方、女性4人組のヴェルターヴォ・カルテットも、お国もののグリーグのカルテットをはじめ、なんとも気になる存在。
ああ、悩むなあ。
30日は、井上道義指揮京都市交響楽団の第529回定期演奏会(京都コンサートホール大ホール)。
井上ミッチーがモーツァルトの交響曲第36番「リンツ」とブルックナーの交響曲第9番を振るというだけで、興味津津だが、P席1500円を買いそびれたのが痛恨の一事である。
映画は、24日〜の『パンドラの匣』と31日〜の『湖のほとりで』(いずれも京都シネマ)。
前者は太宰治原作云々かんぬんより、川上未映子の出演が気になって。
ただしこの映画、もしかしたら仲里依紗を観る映画かも。
後者は、作品本位のチョイス。
あと、京都シネマでは24日〜30日のぴあフィルムフェスティバルin京都期間中に、大島渚の『日本の夜と霧』、『絞死刑』、『儀式』、『愛のコリーダ』、『御法度』が上映されるのもお忘れなく。
万国の大島渚ファンよ、団結せよ!
(そういえば、結局『幸せはシャンソニア劇場から』も観に行けてないんだよなあ…)
あと、旧知の松田裕一郎さんから誘われて、月亭可朝やんが出演する26日の錦湯寄席も観に行くんだった。
ああ、お金があれば、お金さえあれば。
どうにかならないもの金!
2009年10月01日
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