2009年08月29日

1994年1月21日(欧州音楽日記10)

 ☆ハンブルク北ドイツ放送交響楽団定期演奏会

  指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー
 管弦楽:ハンブルク北ドイツ放送交響楽団*1
  独唱:バーバラ・ボニー
  会場:ハンブルク・ムジークハレ*2


 木棚先生*3にも同行していただいて、ハンブルク北ドイツ放送交響楽団の定期をムジークハレに聴きに行く。
 買ったチケットがどえらいところで、全く指揮者が見えないという恐るべき場所。
 私は、ケルンで鍛えたやり方で1階席に陣取ったが、木棚先生には悪いことをした*4。

 指揮は、たぶん首席か常任指揮者にあたるジョン・エリオット・ガーディナー。
 曲目は、ストラヴィンスキーの『火の鳥』組曲にマーラーの交響曲第4番。
 『火の鳥』は、最初管楽器が音を外したりして「おやおや」と思ったが、フィナーレの弦が一斉に鳴るところなど聴いていて「うん、いい演奏だな」と感心した。
 バレエ音楽という感じもなければ、「ロシア的」な雰囲気(何をもって「ロシア的」というのか?)も感じない演奏だったが。
 それと、シューボックス型のこのホールは、管が時折くぐもって聴こえるよう。
 音自体はそれほど悪くないようだが、ただ見えない場所があるというのはねえ(そりゃケルンにもあるけど…)。
 ケルンにはない歴史の重みを感じる古いホールなのだが。

 木棚先生と少し話をしたりして、休憩が終わる。

 マーラーの交響曲第4番。
 ガーディナーがマーラー!? と思わずにはいられないが、聴いてみて、この4番にかぎり、それは杞憂。
 非常に素晴らしい演奏だった。
 第1楽章、鈴の音が終わって弦が鳴るところから、すーっと演奏に入り込むことができた。擬古典的な弦、木管を中心とした部分と、フォルテシモの部分(特に、第5番の冒頭のファンファーレを予感させるところなど)の色分けがしっかりされていたのではないかと思う。それと、最後ぐらいのホルンのソロが印象的。
 第2楽章では、コンサートマスターのソロ。
 第3、第4楽章は、そのまま続けて演奏される。
 バーバラ・ボニーのソプラノ独唱はこの曲にぴったり(歌詞の内容と添うかどうかはひとまず置くとして)。「天上の声」と言えば言い過ぎだろうけれど、美しく透明感のある声だった*5。
 フィルハーモニアのマーラー*6には「?」だったが、今日は手放しで拍手。
 オケも弦・管ともに素晴らしかった。
 ただ、ガーディナーがマーラーの他の作品を指揮してこれほど楽しめるかどうかはまだ疑問が残るけれど。
 とにかく、このマーラーの4番はよかった。



1:ハンブルク北ドイツ放送交響楽団は、1993年10月20日にケルンで、ギュンター・ヴァントの指揮したブルックナーの交響曲第8番を聴いていた。演奏そのものもそうだけれど、演奏が終わって一瞬の静寂ののち、ほとんどのお客さんがスタンディング・オヴェーション状態になったことと、僕に隣の席を譲ってくれたシャーロット・ランプリングみたいな感じの妙齢の女性が僕に微笑して拍手もしないでホールを出ていったことがとても印象に残っている。なお、ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団やケルン放送交響楽団との長年の活動でもわかるように、ギュンター・ヴァントという指揮者は、戦後のケルンのクラシック音楽にとって最大の功労者だったこと(にもかかわらず、その後はケルンのオーケストラと断絶状態にあったこと)がお客さんの激しい反応の大きな要因だと思う。

2:現在は、ライスハレと呼ばれている。

3:木棚照一先生。現早稲田大学教授。当時は立命館大学法学部教授だったが、マックス・プランク外国私法・国際私法研究所客員研究員として、ハンブルクに滞在していた。先生が大学院の国際関係研究科で講義を持っていたこと、さらには木棚先生と関係の深かった友人のKさんの紹介もあって、今回アップするコンサートを聴きがてら、先生を訪問させていただくことにしたのだ。お昼に美味しい魚料理をごちそうになったほか、コンサート終演後、先生の部屋で先生手作りのおにぎりを肴にしばらくお話をうかがうことができたこともよい思い出である。余談だが、党派的にいえば同じ立命館大学の法学部ならO(大…)教授あたりと親しくすべきだったのだろうが、学校運営にまつわる夜郎自大的なあり様が大嫌いで、僕は木棚先生の穏健でジェントルな思考に好感を抱いていた。

*4:先生が席を移動しなかったのは、法を守る守らないの話というよりも、木棚先生の人柄によるものだと思う。

*5:僕がバーバラ・ボニーの熱烈なファンになったのは、このコンサート以降のことである。

*6:欧州音楽日記7をご参照のほど。
posted by figarok492na at 12:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州音楽日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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