2009年08月19日

1994年1月6日(欧州音楽日記1)

 ☆ボン・ベートーヴェンハレ管弦楽団定期演奏会

  指揮:デニス・ラッセル・デイヴィス
 管弦楽:ボン・ベートーヴェンハレ管弦楽団
  会場:ボン・ベートヴェンハレ


 部屋の片付けをしていて、15年前のヨーロッパ滞在中*1にコンサートの感想を綴ったトラベルダイアリーを見つけた。
 正直、文章の拙さ、臆面のなさには目を覆いたくなるが、読みやすいよう改行したり、句読点を補ったり、誤字を訂正したりするほかはあえて原文のまま、備忘録の意味合いもあってここに少しずつアップしていこうと思う。
 なお、文末にいくつかの注釈をつけることにした。



 君島さん*2、スルタンさん*3に会って話をした後は、ボン・ベートーヴェンハレ管の定期をベートーヴェンハレで。
 8マルク*4でチケットは手に入ったが、なんと一番後ろの席。
 しかもケルンのフィルハーモニーと違って、ホールの中は質素そのもの。
 イスなんか、長崎の実家の食卓付きのイスか共研*5の大机用のイスをつなぎあわせただけで、これにはびっくりしてしまった。
 それもイスとイスとの間に段差がない。
 まさに「平土間」である。
 席はケルン流儀で空いている前の席に前進*6。

 指揮は、デニス・ラッセル・デイヴィスで、『エグモント』序曲、ツェムリンスキーの交響的歌曲、ショスタコーヴィチの6番のシンフォニーという、それほどポピュラーではない組み合わせ*7。

 『エグモント』序曲は、弦、管ともまとまっていて、なんだか日本のオーケストラを聴いているような気がした。
 ホールの響は、日本のザ・シンフォニーホールのような「残響…秒」というわけにはいかないが、座ったところが悪くなかったのか、全ての楽器がきれいにまとまって聴けたのでは*8。

 次のツェムリンスキーは、スティーヴン・キンブローのバリトン・ソロで。
 こうした曲を歌うのは(マーラーからもう一歩進んだような)非常に骨が折れるだろうなあ、というのが実感。
 悪い声ではないし、音もきちんととれているのだろうけれど、後半、歌詞が聴きとりにくくなった。
 オケは雄弁。
 ただし、「良かった」とか「良くわかった」とは一概に言えず。

 パウゼ*9のあとは、ショスタコーヴィチ。
 「頭のない交響曲」(プログラム・パンフレット)とは言い得て妙。
 突然、ラルゴから始まる。
 ゆったりとしたこの楽章は、「静かさ」というより「陰鬱さ」を感じさせる。
 時折フルートのソロが、ブルックナーのよう。
 第2楽章は、アレグロ。
 ショスタコーヴィチの「2楽章らしい、2楽章」といえば抽象的に過ぎるか?
 弦の合奏力はそう低くないようだが、管はあまり。
 フルート、ホルン、他金管。
 それと、ホールのせいもあるのか、フルートなど音が硬く聴こえる。
 第3楽章は、ハリウッド映画音楽のパロディのごときプレスト。
 華々しくフィナーレを飾ったが、第1楽章のラルゴを聴いたあとでは、手放しで喜べない。
 ヴォルコフの「証言」*10の記憶が頭にあるからだろうか?

 さて、このオケ、思ったほど悪くない。
 当然のことながら(『オテロ』の時にも書いたが*11)指揮者の効果だろう。
 ツェムリンスキー、ショスタコーヴィチという難しいプログラムを間のびせず聴かせたという点では評価はできる。
 ただ、『エグモント』序曲は、何か物足りなかった。



*1:1993年8月末〜1994年3月初頭まで、僕は国際交流基金ケルン日本文化会館で事業実習を行っていたが、このダイアリーは1994年1月6日以降のものしか記されていない。

*2:君島みずほさん。立命館大学国際関係学部の後輩。当時、ボン大学に留学していて、彼女とは、ボンやケルンで何度か会った。

*3:君島さんのボン大学での友人。

*4:当時のレートで、500円〜700円ぐらいか?

*5:立命館大学大学院国際関係研究科共同研究室の略。

*6:日本語としておかしい。

*7:それほど、ではなく、相当ポピュラーではないと、今にして思う。

*8:もっとドライ、というかひどい音響だったように記憶していたが…。

*9:休憩のこと。

*10:ソロモン・ヴォルコフ編『ショスタコーヴィチの証言』<中公文庫>のこと。この証言に関しては、現在ほぼ信憑性が疑われているようだ。

*11:1993年10月10日、同じ指揮者、同じオーケストラで、僕はボン市立歌劇場のヴェルディの『オテロ』公演を観ている。
posted by figarok492na at 16:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州音楽日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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