☆大阪フィル いずみホール特別演奏会‖ 〜古典から近代への旅〜
指揮:広上 淳一
座席:2階 LB列7番
大阪のいずみホールまで、大阪フィルのいずみホール特別演奏会‖ 〜古典から近代への旅〜 を聴きに行って来た。
指揮は広上淳一、プログラムはハイドンの交響曲第60番「うすのろ」、ショスタコーヴィチのバレエ組曲抜粋、ストラヴィンスキーのバレエ音楽『プルチネッラ』組曲という、まさに玄人好みのするコンサートで、開演前からわくわくわくわくしてしまった。
で、一曲目のハイドンからしてやられた。
この第60番「うすのろ」は、劇音楽を転用した6楽章の交響曲で、ハイドンらしい仕掛けに満ちた作品になっているが、広上淳一はそうした仕掛けの一つ一つを巧みに掘り起こしつつ、クリアでテンポ感のよい、劇場感覚にあふれた音楽づくりを行っていた。
中でも、強弱のメリハリがきっちりついた第2楽章が個人的には印象に残る。
そして、「観物」は終楽章。
ここには、途中で奏者(コンサートマスターら)がチューニングを行うという「遊び」があるのだけれど、広上さんは指揮を空振りしたり、焦ったそぶりをしながら頭をタオルで何度もこすったりと役者ぶりを大いに発揮していた。
今日のコンサートはNHK・FMが録音していたが、せっかくなんだから録画もしておけばよかったのにと思ったほどだ。
続く、ショスタコーヴィチのバレエ音楽の抜粋は、時折金管楽器の不安定さが気になったものの(でも、これだけ吹かなきゃならない作品だもん、仕方ないさ)、耳なじみのよい音楽の裏にある「意地の悪さ」に「皮肉」、交響曲をはじめとした一連の作品との共通性なども感じられて、とても聴き応えがあった。
休憩を挟んだ、『プルチネッラ』組曲は、全曲版でなじんでいるだけに、独唱陣がいないなどちょっぴりさみしさも感じたが、声楽の部分がどのように他の楽器に移されたかや、作品の持つ室内楽的趣向といったストラヴィンスキーの作曲技巧の妙を「目にする」ことができて、実に愉しかった。
てか、『プルチネッラ』を生で聴くことができるだけで、本当に嬉しい。
全体的に見て(聴いて)、大阪フィルはどうしても機能性が豊かとは言い切れない部分もあるのだけれど、フルートやオーボエのソロには充分魅了されたし、弦を中心に音色も美しかった。
これはもちろん、広上淳一の指揮ということも大きかったとは言えるが。
いずれにしても、聴きに行って大正解のコンサート、ゆかいなゆかいなコンサートだった。
できれば、もっともっとお客さんがきていたらなあと、それだけが非常に残念でならない。
そうそう、これって神沼遼太郎も『クラシックアホラシー』<幻冬舎ルネッサンス>で書いてたけど、階上席の最前列の手すり(安全バー)って本当に目障りだなあ。
邪魔で邪魔でしゃあないやん。
2008年03月28日
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