2008年01月18日

川島雄三二本立て・1『喜劇 とんかつ一代』


 京都みなみ会館の川島雄三レトロスペクティヴ、今日はプログラムの面白さもあって、豪華二本立てで愉しんだ。

 で、一本目は『喜劇 とんかつ一代』(1963年、東京映画)。

 『喜劇 とんかつ一代』は、柳沢類寿のオリジナル脚本を川島雄三が映画化した作品で、基本的には、戦前の『花籠の歌』や川島監督自身の『とんかつ大将』にも通じる、とんかつ屋を舞台にした人情喜劇。

 と、言いたいところだし、実際、その基本線はけっこう守られているとも思うのだけれど、そこは「あの男を川島雄三監督と組ませるな」と、プロデューサーに言わしめた(小林信彦『テレビの黄金時代』<文春文庫>「第七章 東京オリンピックとダニー・ケイ」から)柳沢・川島コンビだけあって、どうにもこうにも一筋縄ではおさまらない。
 特に、三木のり平の「クロレラ研究者」(妻の池内淳子にクロレラ製の食べ物ばかりを食べさせる)という設定がキテレツだし、その三木のり平が旧知の芸者(水谷良重=現八重子)の頼みでにせ按摩に扮しウソ発見機をあやつるくだりなど、怪しさ満開である。

 また、森繁久彌、フランキー堺、山茶花究(豚の屠殺名人、という役まわりには、いろいろ想うところもあるが)、益田喜頓といった名喜劇役者たちが、お前がやるなら俺もやるいう風に(それでいてきちんと自分の役割を踏まえた上で)、芸を競っている点も、見逃せない。

 一方で、加東大介や淡島千景、木暮実千代らベテラン勢が人情劇に相応しいしっかりとした演技を行っていることも忘れてはなるまい。
(淡島千景と森繁のやり取りには、ついつい『夫婦善哉』を思い出してしまった)

 他に、団令子、岡田真澄、都家かつ江、村田正雄、立原博、横山道代(この頃の彼女らしくアーパーな役)、守田比呂也、さらには当時の上野動物園園長林寿郎が出演していた。
(林氏の出演は、上野動物園でロケをしたためか)

 まあ、『幕末太陽伝』、『洲崎パラダイス 赤信号』や『しとやかな獣』といった傑作佳品とは異なって、どちらかといえば、笑い好き、それもマニアックな笑い好きの人にお薦めしたい一本だ。

 ただ、いわゆる大衆料理=とんかつにあくまでもこだわる森繁久彌の台詞に、川島雄三や柳沢類寿の気概がこめられているような気がしたのだが、これは僕の思い込みが激し過ぎるのだろうか?
(そう考えると、映画の初めと終わりに歌われるあの歌が、大いなる「讃歌」にさえ聴こえてくるのだ)


 余談だけど、45年も前に撮影されたこの作品の中で、「ストーカー」という言葉がすでに使われていたのは、ちょっとした驚きだった。
posted by figarok492na at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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