2007年09月30日

斬る

 京都文化博物館まで、市川雷蔵主演、三隅研次監督の『斬る』(1962年、大映京都)を観に行って来た。

 『斬る』は、柴田錬三郎の小説による新藤兼人の脚本を三隅研次が作品化したもので、市川雷蔵とシバレンさんの作品世界が巧みに絡み合い、さらに三隅監督ならではの映像美が光った一本。
 と言うのは、あくまでも建前的公式見解で、ううん、どうなんだろうな、これは。
 確かに、市川雷蔵はいつもの如く魅力的なんだけど、僅か71分のプログラムピクチュアにしては、無駄に映像技巧がひけらかされているような気がして、僕には「映画丸ごと」いう意味ではあんまりしっくりくる作品ではなかった。
(邪劇的要素も多分にあるものの、残念ながら眠狂四郎のような突き抜け方をしていないのが、どうにももどかしい)

 役者陣では他に、藤村志保、天知茂(老いて出家した彼の表情が、なんだかうさん臭い)、万里昌代(新東宝的な扱い)、柳永二郎、細川俊夫、稲葉義男(ただの悪役)、渚まゆみ(70年代、80年代のアイドルの先駆けとなるような演技。中山エミリにそっくり。ちなみに、この人はハマクラさんのお嫁さんだった)、丹羽又三郎、伊達三郎らが出演していた。


 余談だけど、今回の上映で、映画を専門に勉強してそうな若い人を何人か見かけたが、ゆめゆめこの作品の技巧的な部分にばかり注目しないで欲しいと思う。
 もちろん、学校の課題や映研の作品として真似する分には全然かまわないけど。
 これを真似してお金をとろうと思っちゃ、やっぱりまずいんじゃないかな。
 あくまでもこれは、衰退期に入っていたとはいえ、今だ数多くのプログラムピクチュアが量産されていた頃の一本なのだし、それより何より、市川雷蔵という大スターの存在があってこその企画なのだから。
posted by figarok492na at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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