2007年05月18日

恋文

 京都文化博物館まで、田中絹代監督の『恋文』(1953年、新東宝)を観に行って来た。

 『恋文』は、田中絹代による第一回監督作品で、丹羽文雄の原作を木下恵介が脚本化したものである。
 戦後、渋谷に実在した、米兵相手の女たちのための手紙の代筆屋を舞台に、ある男女の悲恋が「社会的」なメッセージ(簡単に言うと、「戦争責任」の問題)を絡めながらウェットに描かれていて、なるほど木下恵介らしい本だなとまずは思う。
 で、田中絹代の演出も、さすがはそれなりにこなれたものだと感心したが、全体的に観て、「悪くはないけど、名作佳作とも言えないな」というのが、当方の正直な感想だ。
(どうしても、「不必要」な無駄が多いのだ)

 役者陣では、田中絹代自身の出演はひとまず置くとして、主人公を演じた森雅之やその友人役の宇野重吉の演技、ヒロインの久我美子や特別出演の香川京子のキュートさが強く印象に残った他、笠智衆をはじめ、田中絹代と因縁浅からぬ人々が「何らか」の形で姿を見せている。
 あと、個人的には、出雲八重子が何度も何度も登場していることと、中北千枝子や小倉繁が結構目立っていること、大好きな関千恵子が出ていたことが嬉しかった。

 必見とまでは言えないが、時間がおありの方は、ご覧になられては。


 なお、渋谷の「恋文横丁」に関しては、最近文庫化された小林信彦の『花と爆弾』<文春文庫>の「渋谷は<映画の街>だった」の中に少し記述があるので、興味をもたれた方はご参照いただきたい。
posted by figarok492na at 16:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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