2007年05月10日

花籠の歌

 京都文化博物館まで、五所平之助監督の『花籠の歌』(1937年、松竹大船)を観に行って来た。

 『花籠の歌』は、銀座のとんかつ屋を舞台に、その看板娘の恋の顛末が簡潔かつ丁寧に描かれた作品である。
(ただし、五所監督らしくリリカルでウェットな雰囲気に満ちていることも忘れてはなるまい)
 今から70年も前に撮影された作品だけに、当然「時代」を感じざるをえないのだが、後半、斎藤達雄の演じる刑事が表れるあたりには、よい意味でのアクチュアリティを感じたりもした。
 そして、ラストの河村犂吉扮する親父が口にする「4年経ったら…」という言葉には、たまらない気持ちになった。

 役者陣では、まずもって看板娘を演じる田中絹代を挙げざるをえまい。
 その「ちゃきちゃき」看板娘ぶりは、やっぱり魅力にあふれているもの。
 他に、若き日の笠智衆が笠智衆ぶりを十二分に発揮しているのをはじめ(学生にして僧侶!)、佐野周二、河村犂吉、徳大寺伸、出雲八重子、高峰秀子(かわいい!)、岡村文子、谷麓光、近衛敏明といった面々が柄に合った演技を行っていて、とても嬉しい。
 大名作とは言えないかもしれないが、一見の価値は充分にある作品だと思う。

 ところで、川島雄三監督の『とんかつ大将』は、この『花籠の歌』を意識して作った作品なのではないか?
 佐野周二が「とんかつ大将」だし、徳大寺伸も出演しているし。
 それに、川島監督の師匠にあたる渋谷実監督が、『花籠の歌』の編集を行っているし。
 さて、本当のところはどうなんだろう。
posted by figarok492na at 17:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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