2007年03月29日

にっぽんのお婆ぁちゃん

 京都文化博物館まで、今井正監督の『にっぽんのお婆ぁちゃん』(1962年、松竹=MIIプロ)を観に行ってきた。

 タイトルからして、なんとまあ大仰なと目を剥くむきもあるかもしれないが、まあこれは原作・脚本の水木洋子、並びに監督の今井正らしい「勝負」のありようだと僕は感じた。
 当然、今井正らしく、人が老いるということや死ぬということ、さらにはこの国の社会的な状況や福祉行政に対する「真摯」な訴えもそこここに仕掛けられているのだが、喜劇と銘打たれただけあって、物語は乾いたユーモア感覚に裏打ちされた内容で、北林谷栄とミヤコ蝶々のがっぷりよつに組んだ競演もあって、こ難しい思いはあまりせずにすむ。
 そして、最後に残るのは、生きている限り、自分自身も老い死んでいくのだ、という感慨だ。
(ただ、物語上必要だということは重々承知しつつも、木村功演じるサラリーマンの「突然」の死には後味の悪さを感じた)

 役者陣では、もちろん先述した主人公の北林谷栄とミヤコ蝶々を挙げるべきで、特に、二人がお互いの真実の姿を吐露し、どうやって自殺しようかと考えるあたりの掛け合い漫才のような台詞のやりとりは、見事の一語に尽きる。
(よくよく考えればこの二人、当時はまだ「本当」のお婆ぁちゃんじゃなかったのだ!)
 他に、ばあさん連は、飯田蝶子、東山千栄子、浦辺粂子、原泉、岸輝子、村瀬幸子、じいさん連は、斎藤達雄、渡辺篤、中村是好、左卜全、伴淳三郎、上田吉二郎、殿山泰司、菅井一郎、山本礼三郎、小笠原章二郎、という嬉しい顔のオンパレード。
 よくぞ集めたり、である。
 加えて、田村高廣、沢村貞子、織田政雄、市原悦子、十朱幸代、柳谷寛、渡辺文雄、関千恵子、おまけに小沢昭一、渥美清、三木のり平まで出演している。

 作品自体には、完全に乗り切れていない部分はありつつも、上記の人々の演技を観るだけでも得るところは大きいと思う。
 一見の価値は十二分にあり。
posted by figarok492na at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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