2006年11月04日

日本橋

 予定通り、京都文化博物館まで市川崑監督の『日本橋』(1956年、大映東京)を観に行って来た。

 『日本橋』は、泉鏡花の同名の小説を映画化したもので、鏡花らしい義理人情がもつれあいからみあうストーリー展開に、怪奇趣味やグロテスクさが加わって独特の作品世界が創り上げられている。
 正直言って、はじめのうちは後から入ってきたお客さんが気になったこともあって、市川崑の映像ばかりに目が行き、「こりゃあ絢爛たる退屈さに終わってしまうんとちゃうか」と心配していたが、そこは鏡花と市川崑(さらには和田夏十)、物語が回転し始めてからは、面白い面白い、ぐいぐいぐいぐいと引き込まれてしまった。
(これって、新派のお芝居の作り方まんまじゃん、と途中で気づく。書き割り風のセット一つとってみてもそれがわかる*)
 *ただし、この『日本橋』を単純にアナクロニスティックな作品だと判断すると、それは大きな誤りであろう。
 『ぼんち』や『犬神家の一族』がそうであるように、『日本橋』もまた、市川崑のモダアンな感覚に貫かれているのである。

 役者陣では、淡島千景と山本富士子の二人の芸者の「美しさ」の違いが強く印象に残るが(個人的には、『リボンの騎士』のモデルになったという若き日の淡島千景のことが大好きなのだけれど、山本富士子もやっぱり悪くない)、他に、二人の間で、と言うより義理や人情、己の心情に悩み苦しむ品川隆二(若いなあ、若い)、情けなさと無気味さが見事な柳永二郎(特に、「火事」の後の変わりっぷり!)、若尾文子、船越英二、浦辺粂子、岸輝子、沢村貞子らも出演している。

 これまた一見の価値ある作品だと思う。

 ちなみに、助監督はあの増村保造。
 『巨人と玩具』は、こうした経験もあって生まれたのか。
(そう言えば、腕白大将の役で、川口浩も出演していた)
posted by figarok492na at 03:02| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
へぇ〜「リボンの騎士」のモデルが淡島千景さん?
山本富士子さんは、昔々萩本欽一さんが映画を見て、
「僕が助けてあげなくちゃ」なんて思って見てたって。
山本丈晴さんの方だったかが 古賀政雄さんのお弟子さんですよね?
Posted by kosutalika at 2006年11月04日 08:24
 こんばんは。

 >『リボンの騎士』
 確か、以前そう耳にしたことがあります。

 >古賀政雄さんの…
 たぶん、そうだったと思います。
(山本丈晴=山本富士子の夫)
Posted by figaro at 2006年11月05日 22:12
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