2006年10月29日

破戒

 予定通り、京都文化博物館まで市川崑監督の『破戒』(1962年、大映京都)を観に行って来た。

 『破戒』は、島崎藤村原作の同名の小説を映画化した作品である。
(本当は、「おなじみ」と島崎藤村の前に付けようかと思ったのだけれど、今ではそんなに「おなじみ」とは言えないかもしれないのでやめておくことにした)
 被差別部落出身である小学校の教員瀬川丑松が、様々な経験を重ねることで、生涯隠し通せと言われた自らの出自について告白するにいたるというストーリー展開だが、島崎藤村の原作に関しては、現在では様々な角度から批判が為されている。
 映画化にあたっては、部落解放運動の闘士松本治一郎が監修として加わっていることもあってか、よく言えば「前途への希望」がはっきりと描かれている分、高校時代に何度か見せられた「人権啓発」映画の持つ甘さを感じないでもなかった。
(芥川也寸志の音楽も、時としてやけに甘ったるい)
 ただ、和田夏十の原作のエピソードを巧みに取り入れた流れのよい脚本や、市川崑のテンポのよい演出とスタイリッシュな映像(いつもの如く)もあって、約2時間を飽きることなく観終えることができたことも事実ではあるが。

 役者陣では、直面する「現実」に揺れ動く主人公の弱さやもろさをしっかりと演じてみせた市川雷蔵の他、藤村志保(島崎「当村」のお「志保」の役だから、藤村志保という芸名になったという)、長門裕之、杉村春子、中村雁治郎、岸田今日子、宮口精二、船越英二、潮万太郎、浦辺粂子、伊達三郎らが出演しているが、個人的には、浜村純と加藤嘉の二人が強く印象に残った。
 また、三國連太郎も、「やってるやってる」的なものより、心の底にある何かが感じられて好感が持てた。

 なお、『破戒』は他に、久坂栄二郎脚本、木下恵介監督によって映画化されている(1948年、松竹京都作品)。
posted by figarok492na at 19:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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