昨日購入した、マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団他によるショスタコーヴィチの交響曲第2番「十月革命に捧げる」と第12番「1917年」のCD<EMIレーベル>を聴く。
マリス・ヤンソンス指揮によるショスタコーヴィチの交響曲全集は佳境を迎え、第3番「メーデー」と第14番「死者の歌」を残すのみとなった。
このCDに収録されている交響曲第2番と第12番は、ともにロシアの十月革命をテーマにしたものだけれど、1927年と1961年という作曲時期の違いも含めて、大きく雰囲気の異なる作品だ。
交響曲第2番は単一楽章で、後半にはベズィメンスキイの詩による合唱も加えられているが、単純に言えば、「怪しい状況ではあるものの*、それでも、まだまだ実験的なことをやってます」的なのりの作品である。
(*1927年の11月に、トロツキーらが共産党を除名されている)
一方、交響曲第12番は4楽章形式で、各楽章には十月革命に関した表題も掲げられているが、どちらかと言えば、「いろいろあって、こういう具合になってしまいました」的な、一筋縄ではいかない、どこかしゃっちょこばった感じさえする作品である。
マリス・ヤンソンスは、音楽の持つドラマ性を重視した(言い換えると、聴きどころをよくとらえた)音楽づくりを得意としているが、このCDでも、彼のそうした特性が発揮されているのではないだろうか。
第2番は、比較的ゆったりとしたテンポの、どこかウェットな情感さえ漂うような演奏で、特に合唱の部分が詠嘆調に聴こえた。
(ウラディーミル・アシュケナージ指揮ロイヤル・フィル他による録音<デッカ・レーベル>と比べても、なおそのように感じられた)
逆に、第12番のほうは、テキストのツボやキモを適確に押さえ、周到に音楽の起伏をつけていった演奏のように僕には思えた。
バイエルン放送交響楽団の技術的水準は高く、音楽を楽しむ上で全く問題はない。
いつもの如く、EMIの録音はざらざらじがじがとしてしょっぱい音だけれど、まあ、聴きづらいと難じるほどでもあるまい。
作品の解釈については評価が分かれるかもしれないが、来年はショスタコーヴィチの生誕100周年ということもあり、機会があればご一聴をお薦めしたい。
(ちなみに、今年は没後30周年だった)
2005年11月06日
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