昨日購入した、ベートーヴェンの3重協奏曲と7重奏曲のCD<アルテノヴァ・レーベル>を聴く。
デヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団によるベートーヴェン・シリーズ中の1枚である。
3重協奏曲は、ピアノのイエフィム・ブロンフマン、ヴァイオリンのギル・シャハム、チェロのトゥルス・モルクが独奏をつとめる、なかなか豪華な演奏。
バロック時代や古典派初期の複協奏曲(2重や3重、4重といった)が調和を重んじる世界であるとすれば、このベートーヴェンの3重協奏曲は、そうしたこれまでの世界観を打ち破るような性質を含んだ作品であるといえる。
(もちろん、調和をとろうとしていない、という訳ではない。そう心がけていながら、それを突き抜けてしまう「何か」があるということだ)
ただ、その分、時に雑然と、時に「我が我が」的に聴こえないこともない。
このCDでは、そうした作品の持つ負の部分、というか癖のようなものを活かしながら、なおかつ均整のとれた音楽づくりが心がけられていたのではないか。
ブロンフマン、シャハム、モルクは、万全なテクニックで美しいソロを披露していたし、ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管もクリアで統制のとれた伴奏を行っていたと思う*。
(*いわゆる、ピリオド奏法を援用した)
一方、7重奏曲は、シャハムとモルクが、チューリヒ・トーンハレ管のメンバーとともに、伸びやかで愉悦感に満ちたアンサンブルを創り上げている。
作品を識るという意味でも、音楽を楽しむという意味でも、全く支障のない一枚。
これで税込み680円は安い。
いや、安すぎる!
2005年10月31日
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