一昨日購入したCDのレビューを。
まず、先日輸入盤が発売されたばかりの、ピエール・ブーレーズ指揮ウィーン・フィルを指揮した、マーラーの管弦楽伴奏歌曲集<ドイツ・グラモフォン・レーベル>を聴く。
ブーレーズの生誕80周年を祝うシリーズの劈頭を飾るCDだが、一聴して感じたのは、実に録音がクリアだということ(若干、つくり物っぽくあるものの)。
独唱者、オーケストラとも、とても明瞭に響いてくるのである。
まず、「ながら聴き」人間にはそこが嬉しい。
で、収録されている作品は、『さすらう若人の歌』、『リュッケルトの詩による5つの歌曲』、『亡き児をしのぶ歌』の3曲だが、独唱者は1曲ずつ異なっている(収録順に、バス・バリトンのトーマス・クヴァストホフ、ソプラノのヴィオレッタ・ウルマーナ、メゾ・ソプラノのアンネ・ゾフィー・フォン・オッター)。
各々、優れた歌唱力の持ち主で、個人的にちょっと違和感を抱いた部分もなくはなかったが(例えば、クヴァストホフの高音部とか)、基本的には納得できた。
特に、オッタ−の知的で透明感さえある歌唱に魅力を感じた。
さて、本題のピエール・ブーレーズの指揮だけれど。
CBS(現ソニー)レーベル時代の彼の演奏を識る者には、ドイツ・グラモフォン・レーベルへの録音は、変節以外の何物でもないだろう。
が、逆に現在の彼の演奏を評価する者には、それは成熟という名の変容だと映るだろう。
では、僕自身は如何に考えるか?
僕自身は、変化という言葉を使いたいと思う。
確かに、現在のブーレーズは、かつての鋭敏な音楽解釈からは何歩も何十歩も後退しただろうけれど、それはそれで致し方ない部分もあるのではなかろうか。
肉体の変化や意識・思考の変化、そして何より彼を取りまく状況の変化というものもあるのだから。
少なくとも、「ながら聴き」では充分に満足できたとだけ記しておきたい。
2005年01月17日
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