NHK・FMで、バイロイト音楽祭におけるワーグナーの舞台神聖祝典劇(何じゃそりゃ!)『パルジファル』のライヴ録音を、途中下車(入浴その他)しながらも、最後まで聴いた。
ありていに言えば、聖杯と聖槍にまつわる聖なる愚者の説教じみた物語(指揮はピエール・ブーレーズで、演出はクリストフ・シュビンゲンジーフ)。
重たいだろうなあ、と心配していたが、それほどでもなかったかな。
もちろん、時間という物理的な負担は小さくないけれど、ヘッドフォンで集中しながら聴いても、案外するすると聴けてしまったのである。
まあ一つには、やはりバイロイト祝祭大劇場の如き、ぎゅうぎゅうきちきち詰め込まれた密室で生の舞台を観聴きするのと違って、布団に潜り込んでリラックスして聴けるということが大きいのだろうが。
(まじめなクラシックファンにゃ申し訳ないけど)
それと、もう一つは、やはりブーレーズの音楽づくりがあるのではないか。
明晰、クリア、といった言葉がぴたりと当てはまるような、実に流れがよくてスマートな演奏なのだ。
それこそ、「神聖」な雰囲気を期待するむきには拍子抜けかもしれないが、これほどわかりやすい『パルジファル』を聴いたことは、今まで僕はなかった。
歌手陣も、ブーレーズの音楽づくりに反しない、聴いていて耳にすっと入ってくるような声質の人が集っていたと思う。
終演後は、ブーイングとブラボーの嵐。
ゲストの岡本稔の話によると、シュビンゲンジーフの演出がひどかったらしい。
(この人の説明の中で、「ドイツの歴史を『自虐的』に描いた」云々という言葉がちと気になったが)
2004年12月26日
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