シャワーを浴びて布団に潜り込むと、腹ばいになって何かかにか書きながら、ラジオを聴く。
この時間帯の民放AM局は、ほとんど若手の芸人たちがべちゃらくちゃらやっているので、パスをする。
αステーションを聴くこともあるが、だいたいはNHKのFMかAMを聴く。
昨日の晩も、NHK・FMにダイヤルを合わせた。
すると、
「草之丞がどうしたこうした」
と、若い女性の声が聴こえ始めたのである。
草之丞と言えば、もしかして。
と、慌てて一冊の文庫本を取り出して、確かめてみる。
やっぱり、そうだ。
江國香織の『つめたいよるに』<新潮文庫>の中の一篇、「草之丞の話」が朗読されているのだった。
声に集中して、これは石田ゆり子の声だな、とあたりをつけた。
たぶん、『もののけ姫』の彼女の声の記憶が脳みその片隅にでもこびりついていたのだろう。
高校時代、放送部でみっちり朗読の訓練を続けていたせいか、ところどころ気になる部分もあるのだが、それより何より、声質の魅力って大きいんだなあ、と再認識させられる。
淡くて優しい雰囲気がして、何だかほんわりしてくる声なのだ。
まさに江國香織の作品世界にぴったりな声ではないか、とさえ思えてしまうほど。
それで、ついつい最後まで聴いてしまった。
(やっぱり、石田ゆり子の声だった)
新聞で確かめると、「『つめたいよるに』から」とあったので、迷わず今晩も聴いてみた。
今日は、「桃子」が朗読されていた。
昨日と同じく、何だかほんわりしてくる声で、心がとても落ち着いた。
そして、冬の冷たい夜には、江國香織の作品を石田ゆり子の朗読で聴くことが何よりのぜいたくであると、記してみたくなった。
できれば、『つめたいよるに』を全部朗読してもらえないものか。
*本当は、同じ『つめたいよるに』の中でも、僕は「温かなお皿」のほうが(その中でも、特に「ねぎを刻む」)が好きなのだけれど。
2004年12月23日
この記事へのトラックバック
コメントありがとうございます
石田ゆり子の声と江國香織の文章、確かにいい!
雰囲気が合いますね、私も納得です
ラジオを聞いていて、たまにすごく面白い番組に出会ったときってすごく嬉しい瞬間ですよね^^
いつも、ありがとうございます。
ご賛同いただけて、嬉しいかぎりです。
(残念ながら、今日はやってないみたいです)
>Aktoさんへ
いつも、ありがとうございます。
そうなんです。
ラジオ欄って、クラシックの番組以外確認しないので。
この番組を聴けて、とても嬉しかったです。