2004年11月05日

お利口の壁(CLACLA日記)

 晴れ空が続く。
 何だか、ほっとする。

 「現実主義に徹しなければならない」
 と、知人から電話が入った。
 どうやら、アメリカ大統領選挙の結果と、日本の今後について語り始めたらしい。
 「アメリカ国民が正当な手段で選び出したブッシュ大統領について、他国の国民が軽々に非難を重ねることは許されない」
 また、
 「小泉総理ならば、ブッシュ大統領と二人三脚の日米関係を維持して、日本という国を国際的にも高い評価にある位置に押し上げることが可能である」
 「これで、日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りも現実的になった」
 とも、語っていた。
 果たして、これが彼の言う現実主義なのか?
 もし、それが本当だとしたら、何と薄っぺらい「現実」主義だろう。
 こういう人間が、自分より下の世代にしたり顔で物を教えているのかと思うと、何だかとても悲しくなってくる。
 新聞や雑誌を種にして、狭い範囲で与太話を繰り返している手合いとは影響力が異なるだけに、一層たちが悪い。
 まさしく、現実主義者の「再生産」という訳だ。
 何とかしていかないと。
 *追記=朝日新聞の夕刊で、西崎文子(成蹊大学教授)が、今回のアメリカ大統領選挙を外側(国際間系)の視点から適確に論評している(幾分、ケリーに対する評価が高めのようにも思われるが)。西崎さんの『アメリカ外交とは何か』<岩波新書>は、いずれ一読しておきたい。

 『百年の恋』を読み進める。
 やはり、斎藤美奈子の『妊娠小説』<ちくま文庫>の影響がここにもあるのではないか。
 『妊娠小説』以後について、一度考えてみたいような気がした。

 NHK・FMで、NHK交響楽団の演奏会のライヴ録音を聴く。
 指揮は、この秋からN響の音楽監督に就任したウラディーミル・アシュケナージ。
 今回の演奏会も、そのアシュケナージの音楽監督就任を記念したものである。
 プログラムは、全てベートーヴェンの作曲で、『レオノーレ』序曲第3番、交響曲第4番、交響曲第5番(通称「運命」)の3曲。
 一聴して思ったところは、実にオーソドックスなベートーヴェンだったということだ。
 どの指揮者のどのオーケストラとの演奏、と指定することはできないが、かつてLP時代に馴染んでいた、音が分厚くて、重心の低い(と言って、第4番の終楽章を聴けばわかるように、鈍重ではない)、ピリオド奏法登場以前は「一般的」と呼ばれていた解釈だったように、僕には思われた。
 NHK交響楽団は、基本的に危なげない演奏。
 両者の共同作業については、今後も度々触れていくことになると思う。
(ところで、アシュケナージがNHK交響楽団を指揮中に、指揮棒を左手に突き刺した旨の記事を紹介する他の方のブログを読んだ。大禍なかったのだろうか? そういえば、アシュケナージとは一度いっしょに写真を撮ってもらったことがあったっけ。レコード店でバイトをしていた時、彼のピアノのコンサートの招待券がまわって来て、いわゆる「バックステージ」にも案内されたからである。少し、ナイーヴそうな感じのする人物だったと、僕は記憶している)

 『鶴丸文造の遍歴時代』の筆入れと打ち直しをする。30枚分程度。
 出来のよい小説を読むと、まだまだだなあと落ち込み、出来の悪い小説を読めば読んだらで、自分の作品は大丈夫かいな、と心配になってしまう。
 結局、いつまで経っても満足できないままである。

 明日は、府民審査員で「観劇」の予定。
 残すところ、明日を入れてあと3団体。
 非常にヘヴィな作業だったと痛感する。
(チケット確保の件で、少しトラブルもあったし…)
posted by figarok492na at 21:47| Comment(7) | TrackBack(0) | CLACLA日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「寄らば大樹」の「迎合」主義を<現実>主義というのなら,この世は胡蝶の夢で構わない///.

その知人の言い分だと,ヒトラーの暴走だって受け入れなければならなかったのでしょうなぁ.
Posted by say_say_say/ at 2004年11月05日 17:12
本当の仲良しならば、相手を思い、あえて苦言を呈することがあってもいいと思いますが、そこまでの仲ではないのが残念です。利害が一致しただけの仲間だけで、本当の意味の世界の平和と安定を作れるわけがないですよね。

Posted by risagasuokku at 2004年11月05日 18:59
>say_say_sayさんへ
 いつも、ありがとうございます。
 現実主義を標榜する割に、あまりにも粗雑にすぎますね、論理展開が。
 そんなことで、国際的な評価が得られるはずはないだろうに…。

>risagasuokikuさんへ
 いつも、ありがとうございます。
 利害が一致しただけで、しかも極端に「対等でない」仲間だけでは、結局破綻してしまうのでは?
 もっと中長期的な視点が必要だと思うのですが。
Posted by figaro at 2004年11月05日 22:10
おはようございます

昨日は私もNHK-FM聴きました。
ジャージャーいう雑音がどうしてもとれないのに
あえてに聴いたのはアシュケーナージおじさまだったからです。

たしかこれは以前N響アワーで放送されていた分だと思うのですが、映像つきと音声だけではずいぶん印象がちがいますね。(多分これは音に関する感受性がにぶい--いえ十分に発達していないので映像に影響されるのかもしれませんが---)

それにしても、アシュケナージおじさま(どうも呼び捨てにできないので)と一緒にお写真だなんて・・・いーなあ。



Posted by choro at 2004年11月06日 05:33
 おはようございます。
 いつも、ありがとうございます。
 そうですね、choroさんのご指摘どおり、テレビで放映されていた分だと思います。
 確かに、音だけと映像つきとでは印象が変わったりもしますね。
(やはり、音楽=演奏会も、目で楽しむという部分が少なくないような気がします)
 友人で、アシュケナージからファンレターの返事をもらった人がいましたよ。
 とてもファンを大切にする人のようです。
 残念ながら、写真のほうは手元にありません。
 がっくりです。
Posted by figaro at 2004年11月06日 10:25
斎藤美奈子の『妊娠小説』・・・またかぶりましたw
『百年の恋』は連載中一部読んだだけですが
機会があればまとめて読んでみます


Posted by 管理人S at 2004年11月06日 12:20
 いつも、ありがとうございます。
 こちらこそ、光栄です!
 余談ですが、『妊娠小説』を読んでいたこともあって、滝沢君の『太陽の季節』には唖然でした(まあ、ハンセン病のない『砂の器』までやってしまいましたからね…)。
 もしよろしければ、ご一読のほどを。
Posted by figaro at 2004年11月06日 22:24
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