☆京都市交響楽団スプリングコンサート
指揮:下野竜也
独奏:豊嶋泰嗣(ヴァイオリン)
上村昇(チェロ)
上野真(ピアノ)
ハラルド・ナエス、西馬健史(トランペット)
座席:3階LB1列5番
(2019年4月7日14時半開演/京都コンサートホール大ホール)
京都市交響楽団の新シーズンスタートとなるスプリングコンサートを聴きに、京都コンサートホールまで足を運んだ。
まずは、京響トランペット奏者のハラルド・ナエス(首席)と西馬健史が独奏を務めたヴィヴァルディの2つのトランペットのための協奏曲ハ長調から。
正直言って大有名曲の四季を含めて、クラシック音楽に親しみ始めた頃からヴィヴァルディという作曲家の作品があんまり好みではなかったのだけれど、どんな気の迷いかクリストファー・ホグウッドとアカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックらが演奏したヴィヴァルディの協奏曲集のLPを買って聴いているうちに、この2つのトランペットのための協奏曲は好きになった。
2本のトランペットの華々しい響きが印象的な作品で、二人の独唱者は朗々と美しく、かつ技巧的にも不足なく全曲を吹き切っていた。
一方、最小限度に刈り込んだ弦楽器にチェンバロ(西脇小百合の客演)を加えたアンサンブルは、ピリオド・スタイルは意識しつつも、角の立たないインティメートな伴奏で二人を支えた。
で、舞台転換の合間に下野さん、独奏者の二人によるマイクトークが行われたのちは、京都市立芸術大学と深い繋がりのある三人の独奏者を迎えた、ベートーヴェンのヴァイオリン、チェロ、ピアノのための三重協奏曲が演奏された。
簡単にいえば、ピアノ3重奏を協奏曲に組み込んだ作品ということになるか。
約30年前の朝比奈隆指揮の大阪フィルの定期の前半で聴きそびれて以来、生で聴くのは今回が初めてである。
ベートーヴェンの作品の中ではあまり出来がよくないなどとかつては言われていた曲だけど、明るさと抒情性をためた旋律に満ちており、聴いていて実に愉しい。
豊嶋泰嗣、上村昇、上野真の独奏は三者三様で、それぞれの来し方、年輪の重ね方がよく伝わってくる。
テンポの緩急など、オーケストラはここでもインティメートな伴奏で独奏者をよく支えていた。
休憩を挟んで、メインはドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。
ところどころライヴ特有の傷を感じたりもしたが、現在の京都市交響楽団の水準をよく知らせてくれる演奏でもあった。
下野さんは、基本は速めのテンポで淀みなく、エネルギッシュに音楽をつくっていく。
もちろん、だからといって繊細さに欠けているわけではなく、第2楽章の弦楽器のソロによる静かな部分など強く印象に残ったが。
最後は、下野さんが京響史上最短のアンコールという、ベートーヴェンの歌劇『フィデリオ』の行進曲で〆た。
生でオーケストラを聴くのはやっぱり愉しいや!
ああ、面白かった!!