2017年06月29日

山本薩夫監督の『金環蝕』を観た(CLACLA日記)

 青空は見えつつも、どんよりとした感じが強いお天気。

 気温は上昇し、蒸し暑さが厳しい。
 皆さん、くれぐれもご自愛くださいね。


 気圧と湿度のWパンチ。
 そして、両耳の不調が続く。


 稲田防衛大臣はそれでも辞職しないつもりらしい。
 安倍総理大臣を筆頭に、居直り居座りがデフォルトの内閣である。
 度し難い。
(都議選で自民は敗北するだろうが、自民の補完勢力都民ファーストが勝利しては全く意味がない。結局、思うツボだ)


 安倍総理の側近中の側近、下村博文と加計学園の関係が取り沙汰されている。
 何をいまさらである。


 目くらましの八百長猿芝居には絶対に騙されまい。


 昨夜、山本薩夫監督の『金環蝕』(1975年、大映)のDVDを観る。
 実際に起こった九頭竜川ダム汚職事件(作品内では福竜川)を下敷きにした石川達三の小説を映画化した作品で、与党の総裁選挙に絡んだ政財官界の汚職腐敗構造がこれでもかといった具合にどぎつく描かれていく。
 冒頭に掲げられる、「まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真っ黒に腐っている」という言葉が全てを象徴しているのではないか。
 建設会社による政治家への献金にダム開発への政治の介入、与党内の権力争いと「あのでしゃばり女め」と呼ばれる首相夫人の登場、官僚出身者の内面吐露にマッチポンプ的な人物の追及、関係者の不審な死、司法の政治への配慮、大手新聞の政治部記者の姑息な態度、そしてうやむやにされる事件等々、昭和40年(1965年)前後というからすでに50年以上前の日本を舞台にした作品にもかかわらず、その多くが現在の諸々と一致している点に、過去は過去でない状況への憤りと悲しさを覚えた。
 筋運びや映画のつくり、さらには女性の扱いなど映画そのものの古さは節々に感じるものの、単なる政治スローガンに終わらないエンタメとしての面白さを兼ね備えた作品であることもまた事実だ。
 キーパースンとなる宇野重吉、仲代達矢、三國連太郎はじめ、達者であくの強い役者陣も魅力的である。
(ほぼ台詞のない吉田義夫の抑えた演技など、本当に惚れ惚れとする)
 今だからこそぜひ観て欲しい作品。
 ああ、面白かった!!!


 4時過ぎに寝床に就き、9時半に起きる。

 午前中、YouTubeにアップされたアンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮hr交響楽団が演奏したマルティヌーの交響曲第1番(2016年6月10日、フランクフルト・アルテ・オーパー)を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、『馬猿譚』を書き進めたりする。


 午後、ABCラジオの『桑原征平粋も甘いも木曜日』や『武田和歌子のぴたっと。』を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、津村記久子の『浮遊霊ブラジル』<文藝春秋>を読み進めたりする。


 夕方になって外出し、京都芸術センターで用件を片付けたのち、夕飯用の買い物をすませる。


 帰宅後、アントネッロ・マナコルダ指揮カンマーアカデミー・ポツダムが演奏したメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」&第5番「宗教改革」<SONY/BMG>を聴いて、CDレビューをアップする。


 途中夕飯を挟み、NHK・FMの『ベスト・オブ・クラシック』で、公開録音の菊池洋子のピアノ演奏会のライヴ録音を聴く。

 続けて、マナコルダ指揮カンマーアカデミー・ポツダムが演奏したメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」&第1番<同>、YouTubeにアップされたロリン・マゼール指揮ガリシア交響楽団が演奏したヴェルディの『運命の力』序曲(2012年5月17日、ア・コルーニャ)を聴く。


 夕飯後、仕事関係の作業を進めたり、『浮遊霊ブラジル』を読み進めたりする。


 今日は、甘いものは食さず。
 我慢我慢。


 明日がいい日でありますように!
 それじゃあ、おやすみなさい。
posted by figarok492na at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | CLACLA日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マナコルダが指揮したメンデルスゾーンの「スコットランド」と「宗教改革」

☆メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」&第5番「宗教改革」

 指揮:アントネッロ・マナコルダ
管弦楽:カンマーアカデミー・ポツダム
 録音:2016年11月(デジタル/セッション)
<SONY/BMG>88985433222


 シューベルトに続いて、アントネッロ・マナコルダと手兵カンマーアカデミー・ポツダムが進めているメンデルスゾーンの交響曲全集第二段である。
 今回は第3番の「スコットランド」と第5番「宗教改革」が収録されている。
 一連の録音と同様、基本はモダン楽器ながら、一部をピリオド楽器に変えるなど、いわゆるピリオド・スタイルが援用された演奏で、マナコルダの楽曲解釈にカンマーアカデミー・ポツダムのソロ・アンサンブル両面での精度の高さも加わって、間然とするところのない音楽を愉しむことができる。
 「スコットランド」のほうは、ときとして序曲『フィンガルの洞窟』のような情景描写的な音楽として捉えられることもないではないが、例えば第1楽章や第3楽章の細やかな表現からもわかるように、マナコルダはメンデルスゾーン自身の心象風景、内面の動き(と言うより、メンデルスゾーンの音楽から受けた自らの内面の動き)に重点を置いた音楽づくりを行っているかのように感じられる。
 それとともに、音そのものの持つドラマ、劇性が的確に表現されていることもやはり忘れてはなるまい。
 第2楽章や第4楽章の飛び跳ねるかのような軽やかな音の動きは、まさしくメンデルスゾーンの面目躍如である。
(であるからなおのこと、第4楽章のコーダは野暮たく聴こえてしまう)
 一方、「宗教改革」は、音楽の持つ祝祭性に充分配慮がなされた演奏だ。
 むろん、第2楽章のように、ここでもメンデルスゾーンの音楽の持つ軽快さは十全に発揮されているが。
 そして、この交響曲、ばかりではなく、このアルバム全体の肝は、第3楽章から第4楽章に移る場面でのフルートのソロといっても過言ではあるまい。
 清澄で静謐なこのフルートのソロには、本当にはっとさせられた。

 初期ロマン派の音楽を清新な演奏で耳にしたいという方には多いにお薦めしたい一枚だ。
 ああ、面白かった!!
posted by figarok492na at 19:19| Comment(0) | TrackBack(0) | CDレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする