どんよりとしたお天気から快晴へ。
いいお天気、いい青空となる。
気温も上昇し、春を飛び越して初夏の勢い。
季節の変わり目、皆さんくれぐれもご自愛くださいね。
花粉禍。
目の周りの痒みとくしゃみの連発に悩まされる。
そして、両耳も不調なり。
やれやれ。
九州の地震が続いている。
被害の報も続いている。
ただただ早く落ち着いて欲しい。
昨夜入浴したのち、1時半過ぎに寝床に就く。
で、8時に起きる。
午前中、NHK・FMの『名演奏ライブラリー』、ピアノのユンディ・リと小澤征爾指揮ベルリン・フィルが演奏したプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番&ラヴェルのピアノ協奏曲<ドイツ・グラモフォン>を聴く。
『名演奏ライブラリー』はマウリツィオ・ポリーニのライヴ録音の特集で、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルとのシューマンのピアノ協奏曲やカール・ベーム指揮ウィーン・フィルとのモーツァルトのピアノ協奏曲第19番などが放送されていた。
仕事関係の作業を進めたり、『犬神家の末裔』の下書きを進め前半部分を第16回として投稿したりする。
午後、NHK・FMの『トーキングウィズ松尾堂』や『きらクラ!』、ジョン・エリオット・ガーディナー指揮オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークが演奏したベートーヴェンの交響曲第1番<ARCHIV>を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、柴崎友香の『パノララ』<講談社>を読み進めたりする。
途中、20分ほど昼寝をした。
16時台に外出して、仕事関係の用件を片付ける。
その後、京都芸術センターで雑件を片付け、夕飯用の買い物をすませて、18時半過ぎに帰宅した。
帰宅後、ガーディナー指揮によるベートーヴェンの交響曲第2番を聴いたりしながら、『パノララ』を読み進めたり、雑件を片付けたりする。
途中夕飯を挟み、NHK・FMの『ブラボー!オーケストラ』で、三ツ橋敬子指揮東京フィルの東京フィル第65回午後のコンサートのライヴ録音(2015年11月8日、東京オペラシティ・コンサートホール)を聴く。
ビゼーの『カルメン』第1、第2組曲とラヴェルのボレロという名曲中の名曲が放送されていた。
(途中緊急地震速報が入ったが、結果強い地震ではなくほっとする)
続けて、同じくNHK・FMの『リサイタル・ノヴァ』を聴く。
クラリネットのコハーン・イシュトヴァーンが出演していた。
さらに、ガーディナー指揮によるベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」&第4番、ピアノのエレーヌ・グリモーとバイエルン放送交響楽団室内管弦楽団他が演奏したモーツァルトのピアノ協奏曲第19番&第23番他<ドイツ・グラモフォン>を聴く。
夕飯後、仕事関係の作業を進めたり、『犬神家の末裔』を少し書き進めたりする。
『パノララ』を読了する。
ああ、面白かった!
ほかに、春日太一の『なぜ時代劇は滅びるのか』<新潮新書>の拾い読みもした。
今日も、バナナを食す。
ごちそうさま!
明日がいい日でありますように!
それじゃあ、おやすみなさい。
2016年04月17日
犬神家の末裔 第16回
*犬神家の末裔 第16回
その日、早百合と美穂子は同じマンションの五階にある睦美や小枝子の部屋で夕飯をとった。
もともと小枝子は三鷹で暮らしていたのだが、夫の雅康が亡くなったのを機に、那須に居を移したのである。
「私は、田舎暮らしは嫌だったんだけどね」
と言いながら、小枝子はナイフとフォークで器用にビーフステーキを切り分けながら言った。
いくら少量とはいえ、九十過ぎの女性とは思えぬ健啖家ぶりだ。
早百合が驚きの目で見ていると、私は肉食系だからねと小枝子は笑った。
「ばあちゃん一人にしておくわけにはいかんでしょ。ほっといてごみ屋敷にでもなったらかなわんし」
「馬鹿なことお言いでないよ」
山手育ちのくせに、小枝子はわざと伝法な口調を使いたがる。
日本女子大在学中に、前進座の出し物を真似て前代未聞と言わしめた人物だけはある。
「そんじょそこらのおあねえさんと一緒にしてもらっちゃ困るよ」
「おあねえさんじゃなくて、おばばあちゃんでしょ」
「睦美は無粋だねえ」
「ばってん、あのごみ屋敷のじいさんばあさんには困っとですよ」
「長崎にもいるんですか」
睦美が美穂子の茶碗にご飯をよそいながら尋ねた。
「そがんですよ。うちの近所にも。まあだ七十にもならんとに、三菱ば辞めたとたん奥さんに先立たれて。そいで気がついたら、家の周りに発泡スチロールだとか古新聞だとか壊れた傘だとかば並べ出して」
美穂子が睦美に軽く頭を下げて、茶碗を受け取った。
「奥さんが亡くなったのが大きいんじゃない」
「そいはわかっとっとやけど、あがんされたら近所迷惑たい」
「行政は動かないんですか」
「役所はもう、ほったらかしですよ。あがんじいさんは知らんて。ああ、こん煮びたしは美味しかですね」
美穂子が那須菜の煮びたしを誉めた。
「役所なんてもんは、いつだってそうですよ。良くも悪くも前例第一主義」
そう言うと、小枝子は未だに入れ歯が一本も入っていない自分の歯でステーキを噛み切った。
「まあ、ばあちゃんは断捨離名人だからね」
「そのダンシャリて言うとはなんですか」
「少し前に流行ったんですよ、いらなくなったものはぽいぽい捨てて行くって。もとは、仏教の言葉じゃなかったかなあ」
「へえ。だったらあたしは夫ばダンシャリしようかしら」
美穂子の笑い声につられて、信光も笑い声を上げた。
そんな信光を、中一になった姉の瑞希が冷ややかな視線で見ている。
「夫を捨てるのには反対しないけど、私ゃダンシャリなんて言葉は大嫌い」
「あら、そがんですか」
「だいたい、シャリシャリシャリシャリお香香じゃあるまいし」
小枝子の応えに美穂子が笑い声を上げると、再び信光も笑い声を上げた。
「信光、静かにしな」
ついに瑞希が口を開いた。
その日、早百合と美穂子は同じマンションの五階にある睦美や小枝子の部屋で夕飯をとった。
もともと小枝子は三鷹で暮らしていたのだが、夫の雅康が亡くなったのを機に、那須に居を移したのである。
「私は、田舎暮らしは嫌だったんだけどね」
と言いながら、小枝子はナイフとフォークで器用にビーフステーキを切り分けながら言った。
いくら少量とはいえ、九十過ぎの女性とは思えぬ健啖家ぶりだ。
早百合が驚きの目で見ていると、私は肉食系だからねと小枝子は笑った。
「ばあちゃん一人にしておくわけにはいかんでしょ。ほっといてごみ屋敷にでもなったらかなわんし」
「馬鹿なことお言いでないよ」
山手育ちのくせに、小枝子はわざと伝法な口調を使いたがる。
日本女子大在学中に、前進座の出し物を真似て前代未聞と言わしめた人物だけはある。
「そんじょそこらのおあねえさんと一緒にしてもらっちゃ困るよ」
「おあねえさんじゃなくて、おばばあちゃんでしょ」
「睦美は無粋だねえ」
「ばってん、あのごみ屋敷のじいさんばあさんには困っとですよ」
「長崎にもいるんですか」
睦美が美穂子の茶碗にご飯をよそいながら尋ねた。
「そがんですよ。うちの近所にも。まあだ七十にもならんとに、三菱ば辞めたとたん奥さんに先立たれて。そいで気がついたら、家の周りに発泡スチロールだとか古新聞だとか壊れた傘だとかば並べ出して」
美穂子が睦美に軽く頭を下げて、茶碗を受け取った。
「奥さんが亡くなったのが大きいんじゃない」
「そいはわかっとっとやけど、あがんされたら近所迷惑たい」
「行政は動かないんですか」
「役所はもう、ほったらかしですよ。あがんじいさんは知らんて。ああ、こん煮びたしは美味しかですね」
美穂子が那須菜の煮びたしを誉めた。
「役所なんてもんは、いつだってそうですよ。良くも悪くも前例第一主義」
そう言うと、小枝子は未だに入れ歯が一本も入っていない自分の歯でステーキを噛み切った。
「まあ、ばあちゃんは断捨離名人だからね」
「そのダンシャリて言うとはなんですか」
「少し前に流行ったんですよ、いらなくなったものはぽいぽい捨てて行くって。もとは、仏教の言葉じゃなかったかなあ」
「へえ。だったらあたしは夫ばダンシャリしようかしら」
美穂子の笑い声につられて、信光も笑い声を上げた。
そんな信光を、中一になった姉の瑞希が冷ややかな視線で見ている。
「夫を捨てるのには反対しないけど、私ゃダンシャリなんて言葉は大嫌い」
「あら、そがんですか」
「だいたい、シャリシャリシャリシャリお香香じゃあるまいし」
小枝子の応えに美穂子が笑い声を上げると、再び信光も笑い声を上げた。
「信光、静かにしな」
ついに瑞希が口を開いた。