晴天。
いいお天気、いい青空が続く。
気温も上昇し、穏やかな一日。
その分、花粉も飛んでいるようだが。
皆さん、くれぐれもご自愛くださいね。
両耳の不調が続く。
また病院に行かなければならないか。
やれやれ。
熊本県の地震から一夜が明けて、その被害が刻々と伝えられている。
これ以上被害が大きくならないことを心より願う。
昨夜、24時40分頃寝床に就き、7時に起きる。
で、ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツが演奏したモーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」<PHILIPS>、アンドレ・プレヴィン指揮ウィーン・フィルが演奏したリヒャルト・シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』&『死と変容』<TELARC>、ガーディナー指揮オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークが演奏したベートーヴェンの交響曲第1番<ARCHIV>、KBS京都の『妹尾和夫のパラダイスkyoto』を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、『犬神家の末裔』を書き進めて第14回として投稿したりする。
『犬神家の末裔』は、原稿用紙に換算して60枚分を超えてしまった。
午後、ガーディナー指揮によるベートーヴェンの交響曲第2番、『妹尾和夫のパラダイスkyoto』、NHK・FMの『オペラ・ファンタスティカ』を聴く。
『オペラ・ファンタスティカ』では、ウィーン国立歌劇場におけるグノーの歌劇『ロメオとジュリエット』公演のライヴ録音(マルコ・アルミリアート指揮他/2016年2月23日、26日)が放送されていたが、タイトルロールのファン・ディエゴ・フローレスとマリーナ・レベカの美声もあって、実に聴き応えがあった。
仕事関係の作業を進めたり、『犬神家の末裔』を書き進めたり、柴崎友香の『パノララ』<講談社>を読み進めたりする。
17時半頃外出して、京都コンサートホールへ。
京都市交響楽団の第600回定期演奏会を愉しむ。
感想は、明日投稿する予定です。
終演後、仕事関係の用件を一つ片付け、夕飯用の買い物をすませて22時半少し前に帰宅する。
夕飯後、雑件を片付ける。
今日も、バナナを食す。
ごちそうさま!
明日がいい日でありますように!
それじゃあ、おやすみなさい。
2016年04月15日
犬神家の末裔 第14回
*犬神家の末裔 第14回
そこまで一息に打ち込んで、早百合は手を止めた。
書かなければという意欲はあるものの、気ばかりが急いて、言葉が生きたものにはなっていない。
『犬神家の一族』と実際の戌神家の違いを説明する部分は必要だが、もっとこなれた文章にしていかなければと早百合は思った。
それに、手持ちの文献や資料だけでは書ける内容も限られてくる。
「早百合ちゃん、ちょっとよか」
叔母の美穂子が声をかけた。
「はい」
ノートパソコンの電源を切って自分用の部屋を出ると、早百合はキッチンに向かった。
「よかったら、お茶でもどがんね」
テーブルの上には、カステラの載った皿とほうじ茶の入った湯呑みが二人分用意されていた。
「カステラ、福砂屋の」
「そがんよ。姉さんと食べようと思うとったと。ばってん、あがんことにならしたもんやけん」
早百合の母と美穂子とでは、十五以上も歳が離れている。
東京で育った母とは異なり、幼稚園以降長崎市内で暮らし続けてきた美穂子は、長崎の訛りが抜けない。
そんな彼女のことを母は、美穂子は九州の人だからとよく口にしていた。
「おばさんのおかげで本当に助かりました」
「なんば言いよっとね。私はたあだ石坂浩二に会いたかけん、遊びに来ただけたい」
そこで美穂子はほうじ茶を啜ると、
「さあ、早百合ちゃんも食べんね」
と続けた。
「はい」
「姉さんもこいからが大変たいね」
美穂子は大きなため息を吐くと、フォークに突き刺さったカステラの塊を口に運んだ。
「ああ、美味しか」
早百合は小さく頷くと、マホガニー製の戸棚に視線を移した。
隙がないというか、これまでは神経質なほどに整然と収納されていたはずの食器類が、微妙にずれて重ねられていた。
「早百合ちゃんはこっちに戻ってくっとね」
「少なくともしばらくは」
「そいば聞いて私も一安心たい。近くに立派な病院があるて言うても、やっぱり一人暮らしじゃなんかあったときが心配かけんね」
戌神家の邸宅は、なす市民総合病院が建設される際に全てが取り壊され、改めて新たな家屋が建てられた。
だが、早百合が高校を卒業するまで過ごしたその家屋も、父の死の数年後に六階建てのマンションに建て替えられ、それ以来、最上階の二部屋分のスペースに母は一人で暮らしている。
「姉さんも早百合ちゃんが頼りたい。なんて言うたって、最後は血よ。血は水より濃かとよ」
そう言い切った美穂子は、もう一度カステラの塊を口に運んだ。
そこまで一息に打ち込んで、早百合は手を止めた。
書かなければという意欲はあるものの、気ばかりが急いて、言葉が生きたものにはなっていない。
『犬神家の一族』と実際の戌神家の違いを説明する部分は必要だが、もっとこなれた文章にしていかなければと早百合は思った。
それに、手持ちの文献や資料だけでは書ける内容も限られてくる。
「早百合ちゃん、ちょっとよか」
叔母の美穂子が声をかけた。
「はい」
ノートパソコンの電源を切って自分用の部屋を出ると、早百合はキッチンに向かった。
「よかったら、お茶でもどがんね」
テーブルの上には、カステラの載った皿とほうじ茶の入った湯呑みが二人分用意されていた。
「カステラ、福砂屋の」
「そがんよ。姉さんと食べようと思うとったと。ばってん、あがんことにならしたもんやけん」
早百合の母と美穂子とでは、十五以上も歳が離れている。
東京で育った母とは異なり、幼稚園以降長崎市内で暮らし続けてきた美穂子は、長崎の訛りが抜けない。
そんな彼女のことを母は、美穂子は九州の人だからとよく口にしていた。
「おばさんのおかげで本当に助かりました」
「なんば言いよっとね。私はたあだ石坂浩二に会いたかけん、遊びに来ただけたい」
そこで美穂子はほうじ茶を啜ると、
「さあ、早百合ちゃんも食べんね」
と続けた。
「はい」
「姉さんもこいからが大変たいね」
美穂子は大きなため息を吐くと、フォークに突き刺さったカステラの塊を口に運んだ。
「ああ、美味しか」
早百合は小さく頷くと、マホガニー製の戸棚に視線を移した。
隙がないというか、これまでは神経質なほどに整然と収納されていたはずの食器類が、微妙にずれて重ねられていた。
「早百合ちゃんはこっちに戻ってくっとね」
「少なくともしばらくは」
「そいば聞いて私も一安心たい。近くに立派な病院があるて言うても、やっぱり一人暮らしじゃなんかあったときが心配かけんね」
戌神家の邸宅は、なす市民総合病院が建設される際に全てが取り壊され、改めて新たな家屋が建てられた。
だが、早百合が高校を卒業するまで過ごしたその家屋も、父の死の数年後に六階建てのマンションに建て替えられ、それ以来、最上階の二部屋分のスペースに母は一人で暮らしている。
「姉さんも早百合ちゃんが頼りたい。なんて言うたって、最後は血よ。血は水より濃かとよ」
そう言い切った美穂子は、もう一度カステラの塊を口に運んだ。