晴天へ。
いいお天気、いい青空の一日。
気温も上昇し、春らしく穏やか。
その分、花粉の飛散も激しいようで、時折くしゃみを連発したが。
皆さん、時節柄くれぐれもご自愛くださいね。
両耳(特に左耳)の調子、芳しからず。
やれやれ。
パナマ文書なるものが世情を賑わしているが、日本の政治家や企業はどの程度関係しているのか。
非常に気になるところだ。
裏カジノがどうこうとかまびすしい。
世の中には、事の軽重というものがわからない人があまりにも多いようだ。
確かに度し難いことではあるけれど、もっと度し難いことはあるだろうに。
選挙前のたぶらかしや、目くらましの八百長猿芝居には騙されまい。
そして、こうしたたぶらかしや目くらましの八百長猿芝居に騙されて、騙された騙されたと広言する人間ほど馬鹿愚かもいないと思う。
馬鹿愚かにはなりたくない!
(世の中には本当のことをCMで言われて怒る人がたくさんいるようですね)
昨夜、24時半過ぎに寝床に就き、7時に起きる。
午前中、マルク・ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブルが演奏したハイドンの交響曲第96番「奇蹟」、第95番、第93番、第94番「驚愕」、第98番、第97番<naïve>や、KBS京都の『妹尾和夫のパラダイスkyoto』を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、『犬神家の末裔』を書き進め第4回として投稿したりする。
9時過ぎから、マンションの室内工事がギーンギーンガーンガーンとやたらとかまびすしい。
直接下の部屋ではなく、その隣でもなく、さらにその隣の部屋の工事なのだけれど、やかましいやかましい。
で、工事があるとの貼紙は当該階(こちらにとっては一つ下の階)と、1階の非常に目立たないところに貼ってあるだけで、一つ上や一つ下の階には何もなされていない。
しかも、その貼紙には11日〜20日までと記されている。
なんじゃこりゃ。
なんのために、毎月管理費をきちんきちんと支払っているのか。
これではグッドライフではなくバッドライフ、クラスモでなくクルシモではないか。
気が効かぬ上の嘘つき(どこかの国の総理大臣か)、おふざけなさんな!
午後、仕事関係の予定をすませる。
その後、NHK・FMの『オペラ・ファンタスティカ』は途中下車し、ミンコフスキ指揮によるハイドンの交響曲第99番〜第104番<同>を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、『犬神家の末裔』を書き進め第5回として投稿したり、松家仁之の『火山のふもとで』<新潮社>を読み進めたりする。
『オペラ・ファンタスティカ』では、ヴェネツィア・フェニーチェ劇場でのモーツァルトの歌劇『クレタの王イドメネオ』上演のライヴ録音(ジェフリー・テイト指揮他)が放送されていたが、歌い手の声質がどうにも好みにあわず聴くのをやめてしまった。
まあ、我慢する必要もないしね。
夕方になって外出し、夕飯用の買い物をすませる。
帰宅後、グレン・グールドが弾いたベートーヴェンのピアノ・ソナタ第5番〜第7番<SONY/BMG>を聴いたりしながら、『火山のふもとで』を読み進めたり、雑件を片付けたりする。
途中夕飯を挟み、NHK・FMの『ベスト・オブ・クラシック』で、アイラ・レヴィン指揮ブルガリア国立放送交響楽団のコンサートのライヴ録音を聴く。
ハイドンの交響曲第95番、アレクサンデルとダニエルのガーフィンケル兄弟の独奏によるクラマーシュの2つのクラリネットのための協奏曲、ベートーヴェンの交響曲第8番と『レオノーレ』序曲第2番が放送されていた。
アイラ・レヴィンはミヒャエル・ギーレンに指揮を学んだというが、オケの技量もあってちょっと大味な演奏。
双子のガーフィンケルの妙技は実に愉しかったが。
続けて、マリア・ジョアン・ピリスが弾いたシューベルトのピアノ・ソナタ第16番&第21番<ドイツ・グラモフォン>、デヴィッド・ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団が演奏した同じくシューベルトの交響曲第7番「未完成」<RCA>を聴く。
夕飯後、仕事関係の作業を進めたり、『犬神家の末裔』の今後の展開について考えたりする。
『火山のふもとで』を読了する。
小説を読む愉しみを味わうことのできる作品だった。
ああ、面白かった!
続けて、吉田篤弘の『イッタイゼンタイ』<徳間書店>を読み始める。
今日は、不二家ハートチョコレートを食す。
近くのグルメシティで、税込み30円に値下げされていたもの。
ピーナッツの入ったハート形のチョコレートで、まあまあ美味しうございました。
ごちそうさま!
明日がいい日でありますように!
それじゃあ、おやすみなさい。
2016年04月08日
犬神家の末裔 第5回
*犬神家の末裔 第5回
那須市長選は地域活性化の現職カドワキダイサクをご支援ください。
那須市長選は地域活性化の現職カドワキダイサクをご支援ください。
喧しい選挙カーが対向車線を走り抜けて行った。
「市長選か」
「次の日曜日が投票日」
「門脇って現職だよね」
「うん。今度の選挙に勝ったら、市民会館潰して、ムジークなんたろいう立派なコンサートホール建てる言ってて。地域活性化じゃ、松本や長野には負けておられんのじゃ言って」
「松本は小澤征爾で、長野は久石譲だもんね」
「なんか鈴ちゃんにまで連絡あったんだって。ぜひ、N響で杮落ししたいからって。それで、一応うちにも断りの挨拶に来たんだけど、ばあちゃん、無駄金使ってどうするか、この抜け作がって一喝したんだ」
「抜け作」
「うん、抜け作」
「小枝子おばさん、百近いんじゃない」
「今年で九十四だけど、まあだ矍鑠としてる。朝昼晩て、しっかりごはんも食べてるし。頭もしっかりしたもんで、和俊おじさんなんか、百二十ぐらいまで生きるかもしれんよて。憎まれっ子世に憚るだって自分で言うてるくらい」
「小枝子おばさんらしいなあ」
「そうだよ。まあ、コンサートホールはばあちゃんの言う通りだと思うよ。あんなの造ったところで、ゼネコン喜ばすだけだから」
「田中さんが知事になって、だいぶん変わったんじゃないの」
「いやあ、なかなか。那須もまだまだ田舎だからね。地元の人間が潤うんならまだしも、美味しいところは全部大手が持って行くんだって、これは信哉の受け売りだけどね」
信哉は睦美の夫で、信州新報の記者をやっている。
「だいたい古いお店が潰れて、ドラッグストアや百均ばっかり建ってるんだ。地域活性化もへったくれもないわ。あっ、こんなことばっかり言ってるから、戌神の家はあけーて噂されるんだった」
睦美がちろっと舌を出した。
もともと信州は左翼の強い土地柄だし、私生活は置くとして、戌神恒兵衛自身、東の戌神西の大原と呼ばれた進歩的経営者として知られた人だった。
戦前陰ながら無産政党を支援していたという逸話もあるだけに、その末裔たちがリベラルな思想に走ったところでなんら不思議ではない。
那須市長選は地域活性化の現職カドワキダイサクをご支援ください。
那須市長選は地域活性化の現職カドワキダイサクをご支援ください。
喧しい選挙カーが対向車線を走り抜けて行った。
「市長選か」
「次の日曜日が投票日」
「門脇って現職だよね」
「うん。今度の選挙に勝ったら、市民会館潰して、ムジークなんたろいう立派なコンサートホール建てる言ってて。地域活性化じゃ、松本や長野には負けておられんのじゃ言って」
「松本は小澤征爾で、長野は久石譲だもんね」
「なんか鈴ちゃんにまで連絡あったんだって。ぜひ、N響で杮落ししたいからって。それで、一応うちにも断りの挨拶に来たんだけど、ばあちゃん、無駄金使ってどうするか、この抜け作がって一喝したんだ」
「抜け作」
「うん、抜け作」
「小枝子おばさん、百近いんじゃない」
「今年で九十四だけど、まあだ矍鑠としてる。朝昼晩て、しっかりごはんも食べてるし。頭もしっかりしたもんで、和俊おじさんなんか、百二十ぐらいまで生きるかもしれんよて。憎まれっ子世に憚るだって自分で言うてるくらい」
「小枝子おばさんらしいなあ」
「そうだよ。まあ、コンサートホールはばあちゃんの言う通りだと思うよ。あんなの造ったところで、ゼネコン喜ばすだけだから」
「田中さんが知事になって、だいぶん変わったんじゃないの」
「いやあ、なかなか。那須もまだまだ田舎だからね。地元の人間が潤うんならまだしも、美味しいところは全部大手が持って行くんだって、これは信哉の受け売りだけどね」
信哉は睦美の夫で、信州新報の記者をやっている。
「だいたい古いお店が潰れて、ドラッグストアや百均ばっかり建ってるんだ。地域活性化もへったくれもないわ。あっ、こんなことばっかり言ってるから、戌神の家はあけーて噂されるんだった」
睦美がちろっと舌を出した。
もともと信州は左翼の強い土地柄だし、私生活は置くとして、戌神恒兵衛自身、東の戌神西の大原と呼ばれた進歩的経営者として知られた人だった。
戦前陰ながら無産政党を支援していたという逸話もあるだけに、その末裔たちがリベラルな思想に走ったところでなんら不思議ではない。
犬神家の末裔 第4回
*犬神家の末裔 第4回
早百合が物思いにふけっているうちに、新幹線は那須駅に着いた。
長野新幹線が開業してからというもの、一時間半足らずで東京と那須は結ばれるようになった。
ただ、時間的な距離が短くなった分、精神的な距離も短くなったかといえば、たぶんそれは違うと早百合は思う。
電車を降りたとたん、冷たい風が早百合の頬を打った。
バッグの中からマフラーを取り出して、早百合は首に巻き付けた。
たった一時間半の差で、これだけ気温が違う。
「早百合さん、ですよね」
早百合がはっとして視線を移すと、若い男性を連れた長身の壮年の男性が、東京行きのホームに向かおうとしているところだった。
端正な声にもしやと思っていたら、やはり彼だった。
「ご無沙汰しております」
早百合が頭を下げると、先方も同様に頭を下げた。
「お母様、早くよくなりますように」
男性はもう一度頭を下げてから、階段を上がって行った。
駅の玄関口を出ると、メールに書かれていた通り、バスロータリーの隅に青のボルボが停まっていた。
早百合が軽く手を振ると、運転席の睦美が頷き返す。
かまってかまってかまってちゃん。
こまったこまったこまったちゃん。
助手席のドアを開けると、流行りを過ぎたアイドル・グループの陽気を装った歌が零れてきた。
「お疲れ」
「そっちこそありがとう」
睦美は小枝子の次女の美智子の長女だから、早百合にとっては、はとこにあたる。
早百合とは、八つ違いだ。
「母さんの具合は」
「軽い心筋梗塞やって。詳しくは和俊おじさんが説明してくれると思うけど」
「そっか」
「そしたら出すね」
ゆっくりとボルボが動き始めた。
「あっ、さっき石坂さんに会ったよ。母さんのことも知ってたんでびっくりした」
「石坂浩二、昨日うちに来てたんよ」
バックミラーを気にしながら、睦美が応えた。
「えっ、うちに」
「うん。なんか今度WOWWOWで金田一耕助の特集やるんで、また那須で撮影するんやって。で、その前に戌神家にもご挨拶にって」
「知らんかった」
「おばちゃん、調子がようないもんですからって挨拶しただけですぐに部屋に戻ったんやけど。信光がもう大はしゃぎしてかなわんかった」
「信光君、いくつやったっけ」
「再来月で九歳」
睦美が軽やかにハンドルを切った。
早百合が物思いにふけっているうちに、新幹線は那須駅に着いた。
長野新幹線が開業してからというもの、一時間半足らずで東京と那須は結ばれるようになった。
ただ、時間的な距離が短くなった分、精神的な距離も短くなったかといえば、たぶんそれは違うと早百合は思う。
電車を降りたとたん、冷たい風が早百合の頬を打った。
バッグの中からマフラーを取り出して、早百合は首に巻き付けた。
たった一時間半の差で、これだけ気温が違う。
「早百合さん、ですよね」
早百合がはっとして視線を移すと、若い男性を連れた長身の壮年の男性が、東京行きのホームに向かおうとしているところだった。
端正な声にもしやと思っていたら、やはり彼だった。
「ご無沙汰しております」
早百合が頭を下げると、先方も同様に頭を下げた。
「お母様、早くよくなりますように」
男性はもう一度頭を下げてから、階段を上がって行った。
駅の玄関口を出ると、メールに書かれていた通り、バスロータリーの隅に青のボルボが停まっていた。
早百合が軽く手を振ると、運転席の睦美が頷き返す。
かまってかまってかまってちゃん。
こまったこまったこまったちゃん。
助手席のドアを開けると、流行りを過ぎたアイドル・グループの陽気を装った歌が零れてきた。
「お疲れ」
「そっちこそありがとう」
睦美は小枝子の次女の美智子の長女だから、早百合にとっては、はとこにあたる。
早百合とは、八つ違いだ。
「母さんの具合は」
「軽い心筋梗塞やって。詳しくは和俊おじさんが説明してくれると思うけど」
「そっか」
「そしたら出すね」
ゆっくりとボルボが動き始めた。
「あっ、さっき石坂さんに会ったよ。母さんのことも知ってたんでびっくりした」
「石坂浩二、昨日うちに来てたんよ」
バックミラーを気にしながら、睦美が応えた。
「えっ、うちに」
「うん。なんか今度WOWWOWで金田一耕助の特集やるんで、また那須で撮影するんやって。で、その前に戌神家にもご挨拶にって」
「知らんかった」
「おばちゃん、調子がようないもんですからって挨拶しただけですぐに部屋に戻ったんやけど。信光がもう大はしゃぎしてかなわんかった」
「信光君、いくつやったっけ」
「再来月で九歳」
睦美が軽やかにハンドルを切った。