2015年10月17日

熊倉一雄が亡くなった すいみんぶっそく!(CLACLA日記)

 俳優で演出家の熊倉一雄が亡くなった。88歳。
 東京の生まれで、旧制都立高等学校在学中に演劇活動を始める。
 卒業後、劇団感覚座を設立したがすぐさま解散となり、日本テレビにスタッフとして入社する。
 その後再び俳優に戻り、1956年テアトル・エコーに入団、その中心メンバーとして活躍し、のちに代表となる。
 日本におけるウェルメイドプレイ(喜劇)上演の確立に尽力し、自ら演出も手がけた。
 中でも、『日本のへそ』をはじめ、『表裏源内蛙合戦』、『11ぴきのネコ』、『道元の冒険』、『珍訳聖書』、『それからのブンとフン』といった井上ひさしとの一連の取り組みは有名である。
 また、映画やテレビドラマ、バラエティ番組にも数多く出演したほか、軽さと渋さ、硬軟自在な声質の持ち主で、洋画、海外ドラマの吹き替えやアニメ・人形劇の声優、さらには『ゲゲゲの鬼太郎』の主題歌でも知られた。
 熊倉さんといえば、なんと言っても、ヒッチコック劇場のヒッチコック、『ひょっこりひょうたん島』のトラヒゲ、そしてNHKで長く放映された『名探偵ポワロ』のエルキュール・ポワロ(ポワロ・シリーズを日本に置き換えたNHKのドラマ『名探偵赤冨士鷹』では、そうした熊倉さんに敬意を表してだろう1シーン出演シーンがあった)を挙げなければなるまい。
 ほかに、映画では川島雄三監督の『幕末太陽傳』や黒澤明の『天国と地獄』の吹き替え(清村耕次の)、テレビドラマでは水谷豊主演の『熱中時代』シリーズが印象に残る。
 そうそう、あれは石丸寛の著書だったか、素人の指揮に関する記述の際に熊倉さんが堂に入った指揮をバラエティ番組で披露していたが、それは熊倉さんが都立高校在学時に管弦楽団に参加して指揮の経験があったからだという一文があったように記憶している。
 事実、『巨泉×前武ゲバゲバ90分!』では、熊倉さんが指揮者の役を演じていた。
 また一人、大好きな役者さんが亡くなってしまい、本当に悲しい。
 深く、深く、深く、深く黙祷。

 今日一人でいる時間、ついつい熊倉さんが吹き替えたエルキュール・ポワロとジャップ警部(坂口芳貞)の物真似をやっていた。
 どうにも悲しい。


 どんよりとした感じはありつつも、晴天が続く。
 いいお天気、いい青空の一日。

 季節の変わり目、皆さんくれぐれもご自愛くださいね。


 昨夜、3時半に消灯するも、美味しいコーヒーや美味しい抹茶オーレ(濃いい!)を飲んでしまったこともあってか、結局1時間ほどしか眠れず、8時過ぎに起きる。

 で、朝一で毎週恒例の洗濯をすませる。
 思っていた以上に、乾きがよかった。
 ああ、すっきりした!

 9時半過ぎに外出し、TOHOシネマズ二条へ。
 京都国際映画祭の一環として上映された、ジュリー・テイモア監督の『夏の夜の夢』を観る。
 詳しくは、前回の記事(映画記録)をご参照のほど。


 お昼ごはんをすませたのち、14時台に帰宅する。

 帰宅後、グレン・グールドが弾いたヨハン・セバスティアン・バッハのイタリア協奏曲&パルティータ第1番、第2番<SONY/BMG>、ニコラウス・アーノンクール指揮コンツェントゥス・ムジクス・ウィーン他が演奏したパーセルの『妖精の女王』(『夏の夜の夢』による)<TELDEC>の1枚目を聴いたりしながら、映画記録をアップしたり、仕事関係の作業を進めたりする。


 あまりの眠たさに1時間半ほど眠る。


 夕方になって再び外出し、夕飯用の買い物をすませる。


 帰宅後、NHK・FMの『N響 ザ・レジェンド』で、ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮NHK交響楽団が演奏したベートーヴェンの序曲『コリオラン』、交響曲第4番と第7番のライヴ録音(1970年4月30日、東京文化会館大ホール)他を聴く。

 続けて、グールドのバッハを聴く。

 再びNHK・FMに戻り、『クラシックの迷宮』を聴く。
 「東京の山田耕筰」と題して、山田耕筰の様々な作品が放送されていた。
 なんと言っても、長唄と和楽器、オーケストラによる長唄交響曲『鶴亀』が面白かった。


 夕飯後、『勝呂又吉のこと』を書き進めたり、村田喜代子の『八幡炎炎記』<平凡社>を読み進めたりする。
 ほかに、林達夫と久野収の対話篇『思想のドラマトゥルギー』<平凡社ライブラリー>の拾い読みもした。
 『勝呂又吉のこと』は、パーティ・シーンの構成を考えつつ、原稿1枚程度書き進めた。


 今日は、オイシスのアーモンドホイップケーキを食す。
 壬生のローソンストア100で、50円引きだったもの。
 ホイップクリームを挟んだスポンジケーキにアーモンドチョコをコーティングしたアーモンド形のケーキで、まあまあ美味しうございました。
 ごちそうさま!


 すいみんすいみんすいみんすいみんすいみんぶっそく!
 ねむたい!


 明日がいい日でありますように!
 それじゃあ、おやすみなさい。
posted by figarok492na at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | CLACLA日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ジュリー・テイモア監督の『夏の夜の夢』

☆夏の夜の夢

 監督:ジュリー・テイモア
(2014年/アメリカ)


>まあ、あなた、そんなに啞か何か見たように黙ってらっしゃらないで。
 ね、何とか仰しゃいませよ<
(水村美苗『続明暗』<新潮文庫>115ページより)


 水村美苗の初期の作品に、夏目漱石の未完の長篇『明暗』を書き継いだ『続明暗』がある。
 漱石後期特有のいじいじうずうずいーっとした感じが乏しい点はひとまず置くとして、女性の視点、特に津田の妻お延の心境の変化に多く筆が割かれた点、強く印象に残る作品だ*。
 京都国際映画祭の一環として上映された、ジュリー・テイモア監督の『夏の夜の夢』を観ながら、ふと『続明暗』を思い出したのは、表面的な状況や作品の様相は異なりつつも、作品終盤のハーミアやヘレナの姿に、お延と通ずるものを感じ、さらにはテイモア監督と水村美苗の表現姿勢につながるものを感じたからかもしれない。

 『夏の夜の夢』は、言わずと知れたシェイクスピアの戯曲をテイモア監督自身が演出した公演を、様々な映像的手法を駆使して撮影したものである。
(戯曲の演劇的な上演を映画化したものとしては、チェーホフの『ワーニャ伯父さん』によるルイ・マル監督の遺作『42丁目のワーニャ』があるが、あちらは通し稽古という体だったように記憶する)
 本格的な公開はまだ先ということもあって、あえて詳細に関しては触れないが、登場人物たちの愛にまつわる心のもつれとともに、上述したようなジェンダー・フェミニズム、人種、LGBTといったいわゆる「ポリティカル・コレクトネス」の問題を踏まえつつ、先行諸作品のエッセンス(そこには、テイモア自身の『ライオンキング』はもちろん、日本の作品も含まれていると思う)を盛り込みながら、テイモア監督は『夏の夜の夢』にシェイクスピア作品の肝や尖鋭性、時代的制約を巧みに浮き彫りにしていく。
 が、こう書かれたからといって、何やら小難しくてわかりにくい映画だと思ったら大間違い。
 原作の持つ物語の面白さとスピーディーなテンポに、見世物小屋的な趣向、邪劇性、映像的な仕掛けをぶち込むことで、二時間半という長尺を感じさせないエンターテイメント性にも富んだ作品に仕上がっている。
 また、役者陣の一挙手一投足も、そうした監督(演出)の意図によく沿っており、台詞遣いの美しさ(シェイクスピアのテキストそのものの美しさ)からして、ああこれは適わないなあと思わされた。
 特に、演劇関係者に強くお薦めしたい一本だ。

 と、こう記しつつ。
 上述したあれこれや、ところどころ感じるオリエンタリズム、芸術的なほのめかしも含めて、この作品の寓意、含意、正負の両面、英米圏でのシェイクスピアの受容、血肉化が、この国でどの程度理解されるのだろうと考えてしまったことも事実である。
 そしてそのこと、彼と我との違い、欧米の文化文明の表面的な受容と根底にある断絶、翻訳可能性と不可能性といった事どもに関する葛藤を表現したのが、まさしく漱石であり、水村美苗の『私小説 from left to right』ではなかったろうか。


*ほかに、『明暗』に触発された作品として、永井愛の『新・明暗』がある。『明暗』を現代に置き換えた戯曲だが、これまた劇的効果と刺激に満ちた作品だ。
posted by figarok492na at 15:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

刺激的で愉しい時間を過ごした(深夜のCLACLA)

 晴天が続く。
 いいお天気、いい青空の一日。

 10月も半ばを過ぎ、どんどん秋めいてきている。
 夕方以降は気温も下がっているので、皆さんくれぐれも風邪など召しませんように。


 落語家の八代目橘家圓蔵が亡くなった。81歳。
 東京出身で、先代の橘家圓蔵(月の家圓鏡)に入門。
 舛蔵から真打ちとなり、師匠の月の家圓鏡を継ぐ。
 軽さとスピーディーな語り口で古典を得意とするとともに、トレードマークの黒ぶち眼鏡によいしょ芸、夫人のセツコさんのネタなどで人気を博し、高座とともにラジオ番組、テレビのバラエティ番組(『お笑い頭の体操』や『お好み演芸会』等)、コマーシャル(エバラ焼肉のたれ他)で大活躍した。
 圓蔵さん(と、言うより圓鏡さんとつい言いたくなる。当代の圓鏡さんの高座に生で接していてもなお)といえば、『火焔太鼓』が一番印象に残るか。
 深く、深く、深く、深く黙祷。


 昨夜、KBS京都で岡村隆史のオールナイトニッポンやアルコ&ピースのオールナイトニッポンアールを聴いたりしながら、4時半過ぎまで仕事関係の作業を進める。


 午前中、仕事関係の予定をすませる。


 その後、グレン・グールドが弾いたヨハン・セバスティアン・バッハのイタリア協奏曲他<SONY/BMG>、KBS京都の『妹尾和夫のパラダイスkyoto』や、NHK・FMの『オペラ・ファンタスティカ』を聴く。
 『オペラ・ファンタスティカ』では、バルセロナ・リセウ劇場でのモーツァルトの歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』上演のライヴ録音が放送されていた。
 ホセプ・ポンス指揮のオーケストラには硬さというか、ぎくしゃくした感じを覚えたが、声の好みは置くとして、歌手陣は粒揃いだったと思う。
 また、現代のホテルを舞台とした演出にあわせ、第2幕冒頭のフェランドとグリエルモの二重唱などがどこか現在のポピュラーミュージック風な歌い方となっていた点も面白かった。


 仕事関係の作業をすませたり、『勝呂又吉のこと』について考えたり、村田喜代子の『八幡炎炎記』<平凡社>を読み進めたりする。
 ほかに、林達夫と久野収の対話篇『思想のドラマトゥルギー』<平凡社ライブラリー>の拾い読みもした。


 17時台に外出し、仕事関係の用件を片付ける。

 その後、別所に移動し、大切な予定をすませる。
 智的にも精神的にも刺激を受けるとともに、とても愉しい時間を過ごすことができた。
 美味しいものもいただけて、心より感謝。
(しっくりくる人と一緒にいることができるのは、本当にありがたいことだと改めて思う)


 で、1時台に帰宅した。


 以上、10月16日の日記。


 今日がいい日でありますように!
 それじゃあ、おやすみなさい。
posted by figarok492na at 03:14| Comment(0) | TrackBack(0) | CLACLA日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする