2014年08月13日

カルタ遊び その2

「房子さまはそうおっしゃって、部屋をお出になりました」
「それじゃあ、房子さんは部屋を出たと言うんだね」
「はい」
「房子さんにはそういうところがあるからなあ」
「そういうところってどういうところよ」
「だって、そりゃ。永井さん。永井さん、永井さん」
「この人なら寝てますよ」
「たぶんお疲れになられたんでしょう」
「なんだかんだ言っても、もう八十過ぎの老人だからなあ」
「おい、何か言ったかい」
「いいえ、何も」
「警部、失礼します。庭のほうを調べましたが、櫟さんと思しき足跡は一切ありませんでした」
「ううん、そうか。それでは、房子さんはどこへ行ったんだろう」
「そういえばあなた、前にも一度こういうことがあったじゃありませんの」
「そうそう、あったなあ。あれは、叛乱事件の前の日のことだった」
「叛乱事件ってなんのこと」
「ニ・二六事件のことだよ。伊勢君、君もあのとき櫟さんのお屋敷にいたんだろう」
「ええ、いましたが。しかし」
「そ、そ、その話を、ぼ、ぼ、ぼくに聞かせていただけませんか」
「それよりも、房子さんの行方を探すことが先じゃないのかね」
「まあ、汚い。テーブルがフケだらけ」
「あっはっは。等々力さん、房子さんなら大丈夫ですよ。ねえ、そうでしょう伊勢さん」
「まあ、そうですね。ねえ、芝山君」
「はあ、実はその、房子さまはですね、すぐそこに」
「えっ!!!!!!!!」
posted by figarok492na at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | カルタ遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ローレン・バコールが亡くなった(CLACLA日記)

 アメリカの俳優、ローレン・バコールが亡くなった。89歳。
 モデルから映画界に入り、『脱出』でデビュー。
 共演者のハンフリー・ボガートと結婚した。
 その後も、『三つ数えろ』や『キー・ラーゴ』、『百万長者と結婚する方法』、『オリエント急行殺人事件』など数々の作品に出演する。
(ほかに、『死海殺人事件』や『ミザリー』にも出演していたはずだ)
 スレンダーな姿態と鋭く美しい容貌、ハスキーボイスで知られた。
 深く、深く、深く、深く黙祷。


 晴天からどんよりとした感じへ。

 気温は上昇し、暑さがとても厳しい。
 暑い暑い暑い暑い。
 皆さん、くれぐれも熱中症にはお気をつけくださいね。


 昨夜、Radio4でサカリ・オラモ指揮BBC交響楽団が演奏したベートーヴェンの『エグモント』序曲(2014年8月7日、ロンドン ロイヤル・アルバート・ホール、プロムス)、ティエリー・フィッシャー指揮BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団が演奏したラヴェルの高雅にして感傷的なワルツとラ・ヴァルス(2014年7月27日、同)、ブロドスキー・カルテットが演奏したドビュッシーの弦楽4重奏曲と亜麻色の髪の乙女(1998年4月20日、ティルブルグ大学)、ピアノのアミール・テベニキンが演奏したブラームスの8つの小品作品番号76、リストの『さまよえるオランダ人』によるバラードとハンガリー狂詩曲第15番「ラコッツィ行進曲」(2014年1圧11日、ブレーメン放送ホール)のライヴ録音を聴いたりしながら、4時過ぎまで仕事関係の作業を進めたり、『深雪またなん』の筆入れを行ったりする。

 作業の合い間、文章のエチュードなどと称して原稿用紙2枚分の駄文を即興で書く。
 詳しくは、前回の記事(『カルタ遊び』その1)をご参照のほど。


 朝早くから、諸々かまびすしい。
 腹立たしいかぎり。


 午前午後と、ヴァイオリンのアレクサンドル・ダ・コスタとマルツィオ・コンツィ指揮オビエド・フィルが演奏したサン・サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番&交響曲第3番「オルガン付き」他<WARNER>(2回)や、Radio4でアンドレア・オロスコ=エストラーダ指揮hr交響楽団が演奏したハイドンの交響曲第59番「火事」とチェルハの管弦楽のための「日記」(2014年2月7日、フランクフルト・アルテ・オーパー)、アダム・フィッシャー指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が演奏したベートーヴェンの交響曲第6番「田園」&第7番(2014年1月10日、アムステルダム・コンセルトヘボウ)のライヴ録音を聴いたりしながら、仕事関係の作業を進めたり、『深雪またなん』の筆入れと打ち直しを行ったりする。


 野口武彦の『幕末明治不平士族ものがたり』<草思社>を読了する。
 内容自体は面白いが、ちょっと女性観が古いなと思ったりもした。


 17時台に外出し、メガネ・ショップでメガネのメンテナンスを行う。
 その後、夕飯用の買い物をすませて、18時45分に帰宅した。


 途中夕飯を挟み、NHK・FMの特集『ヨーロッパ夏の音楽祭』で、第3回ユトレヒト国際室内音楽祭から、ヴァイオリンのジャニーヌ・ヤンセンを中心としたアンサンブルによる室内楽コンサートのライヴ録音(2014年6月25日、ユトレヒト チボリ・フレデンベルク大ホール)を聴く。
 ショスタコーヴィチの弦楽8重奏のための2つの小品、ヴァインベルクのピアノ3重奏曲、メンデルスゾーンの弦楽8重奏曲が演奏されていた。


 続けて、サン・サーンスのCDを聴く。


 夕飯後、『深雪またなん』の筆入れと打ち直しを行ったり、中澤日菜子の『お父さんと伊藤さん』<講談社>を読み始めたりする。
 『お父さんと伊藤さん』は、まず地の文章の巧さを感じる。
 地の文章が苦手な人間にとっては、とても気になるところなのだ。


 今日は、オイシスの半熟チーズスフレを食す。
 近くのローソンストア100で、50円引きになっていたもの。
 チーズ風味のきいた柔らかい食感のスフレで、まあまあ美味しうございました。
 ごちそうさま!


 明日がいい日でありますように!
 それじゃあ、おやすみなさい。
posted by figarok492na at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | CLACLA日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

カルタ遊び その1

 お芝居や音楽にエチュードがあるように、文章にだってエチュードがあっていいじゃないか!
 なあんてもったいはいらないわけで。
 作業を進めていると、どうにもそこから先に進めない状況に陥ることもありまして。
 で、息抜き代わりに、原稿用紙2枚分800字の脈絡のない断片を、気が向いたときに即興で書いていこうかと思った次第。
 内容のひどさは言うまでもなく。
 あくまでも中瀬宏之自身のためのエチュードということでここは一つご勘弁のほど。
 ちなみに、『カルタ遊び』というのは以前書き始めて途中で断念した連作掌篇のタイトルをスライドさせたものですので悪しからず。


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 『カルタ遊び』は、ストラヴィンスキーが一九三六年に作曲した三場のバレエ音楽であり、ロッシーニの歌劇『セビリャの理髪師』序曲をはじめ、様々な音楽がパロディ的に引用されている。

 そこまで記して、木嶋は筆を置いた。
 ここから先はCDを聴いてみないことにはわからない。世の中には、CDを聴かずしてCDレビューをものしてみせようとする猛者もいるらしいが、いくら文章書きが仕事とはいえ、クラシック音楽ときたらあいにくこちとらずぶの素人、そんな馬鹿な真似はできるわけがない。
 それにしても、このコンスタンチン・コンスタンチノヴィチ・ストロガノフスキーという指揮者ときたらどうだ。乃木大将かボニージャックスのメンバーかと言いたくなるような村夫子然とした面構えではないか。ドベチンスク交響楽団というオーケストラの名前もまたロシアの田舎田舎しているし。
 はたして両者はどんな演奏を披歴しているのだろうか。
 などと、木嶋はCDのブックレットを睨みつけながら一瞬物想いにふけった。

 と、そのときだ。
 窓の外から、女の悲鳴が聞えてきた。
「助けて、助けて、斎藤道三よ」
 木嶋は、あまりにあまりな言葉ゆえ、思わず手にしたCDブックレットをぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃと丸め捏ねた上で、びりびりびりびりと引き裂いてしまった。
「畜生、何馬鹿なこと言ってやがる。てめえは人間じゃねえやたたっ斬ってやる」
 木嶋は座右に置いた胴田貫をさっと手に取ると、やおら戸外へ出ていこう。
 としたところで、恐るべし、ほわほわほわほわあと鳴り轟く法螺貝の音。
 ああ、そはきっと斎藤道三の軍勢。
posted by figarok492na at 03:13| Comment(0) | TrackBack(0) | カルタ遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする