2013年01月14日

劇研アクターズラボ+ルドルフ 絶対、大丈夫か第1回公演『NEVER ENDDING STORY』

☆劇研アクターズラボ+ルドルフ 絶対、大丈夫か第1回公演
 『NEVER WEDDING STORY』

 脚本・演出:筒井加寿子
 ゴーゴリ『結婚』より
(2013年1月14日14時開演/アトリエ劇研)

 *NPO劇研枠での招待


 邪劇が大好きだ。
 狙った邪劇も大好きだけど、やむにやまれぬ想いが高じて、はたから見ると「なんじゃそりゃ!」と突っ込みたくなるような邪劇も大好きだ。
 日本におけるそんな邪劇の偉大で天才的な造り手の代表こそ、大映東京で意欲作を連発し、いわゆる大映ドラマのフォーマット(突拍子もない設定とありえない展開、内面の感情を露骨に表わす独特の言い回しを伴った台詞等々)を完成させた、今は亡き増村保造である。
 強固で強烈な自我の表現、まではよいとして、それがエスカレートして結果思わぬ方向へとストーリーは転回(天界)していく。
 例えば、川端康成原作による『千羽鶴』での、突然激しく喘ぎ始める若尾文子、はたまた反戦恋愛劇『赤い天使』の終盤での、若尾文子と芦田伸介のコスプレまがいの怪体なやり取り、さらには『大地の子守唄』のラストでのあの歌声。
 その邪劇っぷりは、実におかしく、実に哀しく、そして時に神々しくすらあった。

 ルドルフを主催する筒井加寿子と劇研アクターズラボの公演クラス受講生による「絶対、大丈夫か」の第1回公演『NEVER WEDDING STORY』も、大映ドラマもかくやと思わせる邪劇臭たっぷりの喜劇に仕上がっていた。
 ただし、増村保造が自己自我実現まっしぐらであるならば、筒井さんの場合は、ベテラン演劇人ならではの劇場感覚とサービス精神、含羞、自己との距離感(それは、筒井さんの私戯曲『まっしろけでゴー』にもよく表われていた)に裏打ちされた、考え抜かれた邪劇臭と評すべきだろうが。

 藤吉はなは御年37歳。
 恋愛や結婚への興味関心が全くない。
 と、言うのも彼女、『ポコブル』なるパペットアニメにぞっこんだからだ。
 そんな彼女が、実の両親代わりの叔母の勧めに従って、人生初のお見合いに挑んでみたのはよいのだけれど、会場のホテルに現れたのは、公務員の野呂間種男をはじめなんと4人の男性たちだった…。
 という具合に、物語は展開するのだが、諸々あって結婚に乗り遅れたり結婚を所望する人間たちの姿が、面白おかしくキュートでポップ、そしてどこかほろ苦く描かれていく。
 二時間という長尺で、ときに急所もなくはなかったものの、歌にダンスに劇中人形劇、そしてやたけたやぶれかぶれの邪劇的趣向(吉本風でもあり、花登筐風でもあり)に、スピーディーなテンポの演技もあって、全篇愉しく観終えることができた。

 加えて、一人一人の登場人物が、おかしな奴=だめな奴=社会不適応者=いらん=死んでまえ!と責められ断罪されるのではなく、人間どっかあかんとこはあるさ、あかんちんしゃあないやん、といった姿勢で描かれていた点も忘れてはなるまい。
 そしてそのあかんちんの中には、当然筒井さん自身も含まれているはずだ。
(もしそうでなければ、藤吉なのはの部屋、と、言うより本棚の様子が、あれほどまでにマニアックでモノマニアックに再現されることはなかっただろうから。全部ではなくとも、多分に藤吉なのはは、筒井さん自身の投影だと思う)

 いずれにしても、今回の『NEVER WEDDING STORY』は、アクターズラボの公演クラスにおける一年間の共同作業の貴重な成果であるとともに、まだ微かではあるかもしれないが、確固とした自己肯定と他者肯定の証明であり表明だと思う。
(おっ、これでやっと増村保造につながったようだぞ)

 筒井さんの演出もあってだが、藤吉なのはを演じた岩崎果林、野呂間種男を演じた高橋太樹(彼の雰囲気もあってか、ルドルフではおなじみの「キャラクター」が巧くスライドされていた)をはじめ、多田勘太、北方こだち、柿谷久美子、奥田覚、渋谷善史、川本泰斗、青生しんの演者陣は、各々の個性魅力を十二分に発揮した熱演好演だったのではないか。
 喜劇ならではの間の取り方等々、一人一人の問題点急所も明らかになったとも思うが、それこそ来年の第2回公演の課題としてもらえれば幸いだ。

 そうそう、岩崎さんが描いたイラストなど、細部へのこだわりが嬉しかったんだよね。
 そういったあたりも含めて、次回の公演が愉しみだな。

 ああ、面白かった!
posted by figarok492na at 20:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 観劇記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする